きょういくじん会議
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調理実習もフレンチのフルコースの時代!?
kyoikujin
2008/9/25 掲載
プラントイ 調理用具セット

 胸ときめかせる子どもも多い「調理実習」。皆さん、どのようなメニューを作ったか思い出せますか? 記憶の断片をたどれば、目玉焼きやブリの照り焼き、カレーライス等の定番料理が思い出されるところです。しかし! 最近では、何とも贅沢なフレンチのフルコースを作る授業に熱い視線が注がれているそうです。

 この授業、有名フレンチシェフである三國清三氏ら「日本フランス料理技術組合」が主催している「KIDS−シェフ」という活動によるものです。

 2000年より、全国の小学校で精力的に活動を展開されているとのこと。授業のねらいは(A)味覚の発達促進・食への関心向上(B)地域の食材・食文化を学ぶ―の二つにあると考えられます。主に小学校高学年をターゲットとし、大まかに以下の流れで授業を行います。

  1. メニューを考える
  2. 味覚の授業を行う
  3. メニューの決定
  4. 調理実習
  5. 試食、終了証の授与

 具体的な授業内容として、まずはメニューを決めます。これはこのところよく耳にする「地産池消」ですね。地元の食材を取り入れたメニューをひとりひとりが提案し、スープ→前菜→肉料理→魚料理→デザートのフレンチのフルコースを、シェフと考えます。並行して行う味覚の授業では「味わう」ことを学び、食そのものへの関心を高めます。その中ではシェフお手製の世界三大珍味料理をいただけるという羨ましい話も…。実習後は全員で試食をし、シェフから修了証を受け取ります。

 個食・孤食の増加や子どもの生活習慣の乱れ、味覚障害など様々な食を巡る問題が叫ばれている現在。こんなに素敵な授業ならばきっと多くの子どもが目を輝かせると思います。あくまで一例ですが、食を考えることは地域を考え、健康を考え、家族で過ごす時間を見直すことにつながります。本格的な「食育」の発展はまだまだこれから。食や農業の見直しから、ますます新しい方向性が見出されていくのではないでしょうか。
 なお、フレンチのご当地フランスでは、数十年前から「栄養教育」や「味覚教育」を政策に取り入れているそうです。しかも、幼稚園期からという徹底ぶり。さすがは美食の国ですね。

※具体的な授業内容については、高知県南国市立・後免野田小学校様の取り組み例を参考にさせていただきました。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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