きょういくじん会議
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教員の負担を減らすには? 公立学校職員の取り組み
kyoikujin
2008/9/26 掲載
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 教育現場では今、教員が多忙で日常的に子どもと接する余裕がないことが大きな問題となっています。近年いじめなどが多発する原因の1つとして、教員が忙しすぎて子どもたちに目が届かないこともあげられるのではないか、といった指摘もあるようです。
 そんななか、宮崎県小林市の公立小中学校では、教員が子どもと向き合う時間を少しでも確保するために、複数の学校の職員で事務を分担し、教員の負担を減らす取り組みが行われているそうです。

 20日の読売新聞の記事によると、小林市内のすべての小中学校をイントラネットでつなぎ、文書を管理する「文書情報共有システム」を各校の事務職員が共同で開発し、校内での事務作業の効率化を進めているということです。学校によってはすでに、これまで教員の仕事であった教材費の集金や会計処理など、事務作業の一部を学校職員が代行しているところもあるようです。

 今年度から文部科学省は、教員の多忙化を解消し、子どもと向き合える時間を増やすことを狙いとして「子どもと向き合う時間の拡充」事業を実施しています。授業の補助や、授業以外の仕事の一部を非常勤講師や学校支援ボランティアなど外部の人材に委託することで教員の負担を軽くしようという試みですが、講師の待遇が良くないことなどから、子どもたちに本当に質の高い教育を提供できるのか、正規の教員や職員こそ増やすべきではないのか、とその方法を疑問視する声もあがっています。

 また、2007年の日本教職員組合による調査「国際比較からみた日本の教員の仕事と職場生活」によると、諸外国の中でも日本の教員は教科の授業以外の仕事が多く、そのことを負担に思っている教員の割合が大きいことが明らかになっています。部活動などの課外活動への参加、休み時間を子どもたちと過ごす、など日本では当たり前だと思われがちなことも、他の国では教員の仕事と思われていないところもあるようです。
 正課の授業以外でも教員が子どもたちの面倒をみるということは、日本の学校教育の特筆すべき点であると考えられます。しかし一方で、事務作業も課外活動も、すべてを教員に任せるような仕組みが限界に近づいていることも確かです。政府が財政的な事情から教員数を増やさない方針を掲げている今、教員・職員の労働力をどのように配分していくのかを考えることが、教育現場に求められているのではないでしょうか。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
1件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2008/9/26 18:57:54
    文書情報共有システムはなかなか良いアイデアかも。
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