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教育委員の役割とは―大阪教委に陰山氏と小河氏起用
kyoikujin
2008/10/9 掲載
教育委員会の組織と機能の実際 (地方分権と教育委員会)

 2日の毎日新聞の記事によると、大阪府の橋下知事は府教育委員として、百ます計算による教育法で知られる陰山英男氏と小河勝氏を任命したようです。両氏の起用の背景には、今春に行われた全国学力調査で、大阪府の成績が2年連続で低迷したことがあるようです。
 ところで両氏が就任することになった教育委員会、耳慣れた名前ですが、いったい誰がどんな仕事をしているのでしょうか。調べてみました。

教育委員会とは

 教育委員会は、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」により、自治体ごとに設置が義務づけられた組織です。委員会は地方公共団体の議会での同意を得て、首長に任命された5人の委員で構成(条例等で人数変更可能)されており、任期は4年。任期中の仕事は「地方公共団体が処理する教育に関わる事務」と定められています。

 この「教育に関わる事務」として多くの人がまず思い当たるものとしては、学校の教育課程や学習指導、教員の任免に関わる人事権などでしょう。そのほかにも、「学校その他教育機関の設置、管理及び廃止」の他、教科書の採択、学校給食やユネスコに関する活動であったり、文化財の保護など意外と広範に及びます。

 教育委員は互選により「教育委員長」を選出することになっていますが、似たような名前の役職として「教育長」というものもあります。最近起きた大分教委の不祥事では、この「教育長」が収賄容疑で逮捕されました。この両者の違いはどこにあるのでしょうか?

 「教育委員長」は、「委員会の会議を主宰し、教育委員会を代表する」存在で、任期は1年。一方、「教育長」は委員の互選で選ばれますが、立場は教育委員会についての事務をつかさどる教育委員の事務局の長になります。そのため教育長は教育委員から委任された事務を、代理し行使することも認められているのが特徴。任期は委員としての任期内の在任中です。

教育行政をめぐる動き

 ところで北海道の中頓別町では教育長を非常勤でも可能とする条例がつくられました。2日の朝日新聞の記事によると、町議員らが厳しい財政難に直面した町を「第2の夕張にしてはならない」という思いから、人件費の削減をねらい条例化へと踏み切ったとのことです。

 この条例案は議会にて可決されたのですが、文科省より教育長は「非常勤では務まらない」などの意見があったこともあり、結局「常勤」の教育長が選任されました。他にも教育委員については、京都で3町村が教育委員を統合する見通しで議論が進んでいるといった動きもあるようです。

 学校現場では数年後に学習指導要領が変わり、国としての教育方針も大きな節目となってきています。そういったなかで現場レベルで教育行政を担う教育委員の役割もまた変わってくるのかもしれません。今回の大阪府の教育委員会の人事はそのひとつのケースといえるのかもしれません。その意味で、影山氏と小河氏の教育委員としての仕事振りに注目していきたいところです。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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