きょういくじん会議
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「就職活動」が「シューカツ」。変わる環境と変わらない苦労
kyoikujin
2008/11/26 掲載
シューカツ!

 それまで読む習慣のなかった日経新聞を読むようになり、慣れないスーツやネクタイの身につけ方を勉強し、筆記試験のために忘れていた知識を掘り起こし、志望動機を書き込むエントリーシートが埋まらずどう書いたら良いものかと悩む…。就職活動を経験したことのある方なら、どれか一つくらいは思い当たることがあるのではないでしょうか?

 最近では、人気小説家の石田衣良氏が現代の就職活動を題材に描いた小説、「シューカツ!」も発売されました。「就職活動」ではなく「シューカツ」。書き方だけでなく、今の時代には今の時代なりの、就職活動の様子というものがあるようです。

 ここ数年景気の回復から就職活動の場は売り手市場といわれていました。それはSMBCコンサルティングでの07年時のインタビューで、専門家である採用コンサルティング会社も語っているほどです。しかし、11月1日の朝日新聞によれば、今年度は景気悪化の影響からか、来年度入社予定の内定者に取り消しを通知する企業が増えてきているといいます。たった1年の差でこれほど状況に差が出てしまうのか、という驚きと、来年度はより厳しくなるのかもという不安が、これから取り組む当の学生たちにもあるのではないでしょうか。

 また現在では何をするにも欠かせないインターネットですが、それは就職活動でも同じ。就職活動を行う学生たちの情報交換の場を提供しているインターネットの掲示板に、「みんなの就職活動日記」(通称「みんしゅう」)というものがあります。少し見てみると、企業ごとに、実際に受けた人達による細かな報告などがされていて、情報量は非常に多いようです。他にも様々な掲示板で活発な情報交換が行われていて、こうした就職専門の掲示板は、ここ数年のうちに就職活動を行った方なら、一度くらいは利用されているかもしれませんね。どんな情報とも同じく鵜呑みは危険ですが、特にそう頻繁に会社主催のセミナーなどに出られない地方の方にとっては、貴重な情報源となっていることは間違いないでしょう。

 また大学としても、出身者の就職率が高いことは新たな入学者を増やす格好の材料となることから、多くの大学で学生の就職活動を支援する動きが広がっています。一例を挙げると、少し前の記事ですが06年6月4日の読売新聞によれば、鳥取大学で、国立では全国初となる大阪都市部へ出るための就職支援バスを運行。格安で提供しているため、就職活動の金銭的な縛りがずいぶん楽になっているようです。他にも、1月9日の読売新聞によると、転職を望んでいる卒業生に対して相談窓口を設ける大学が増えているとのこと。大学としても、卒業生に対しても手厚いフォローが行えるという魅力をアピールするチャンス、という事のようです。

 こうして、現在は現在なりの就職活動の形がありますが、おそらく変わらずにあり続ける事は、ほとんどの人が自分の将来に対してあれこれ思い悩みつつ挑んでいく、ということ。既に今は09年入社に向け、企業の説明会なども行われている時期ですが、ぜひ、自身が納得のいくシューカツに挑んでいただきたいところです。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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