きょういくじん会議
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少年刑務所での更生 働いて得るもの
kyoikujin
2008/10/11 掲載
ぼくの少年刑務所暮らし

 10月7日付の毎日新聞によると、函館少年刑務所が製作・販売している「マル獄前掛け」という前掛けが、現在生産が追いつかないほどの人気で、この前掛け目当てに訪れる人もいるほどだといいます。マル獄マークというインパクトと、紺地に白の字という、いかにも昔ながらの前掛けといったレトロさで受けているのだとか。自分たちの製作したものが商品となって売れ、ましてやそれが人気になるという経験は受刑者にとっても誇らしく、良い影響を与えるのではないでしょうか。

 もしかしたら、少年刑務所ってどんな所? 少年院なら聞いたことがあるけれど、という方もいらっしゃるでしょうか。どちらも未成年の更生のための施設、ということは共通ですが、法務省矯正局ホームページの「刑事施設」に関するページによれば、少年刑務所とは、成人が収容される刑務所同様、刑が確定した受刑者を収容し、処遇をおこなう施設であり、矯正に加え、処罰的な意味合いが強いのです。

 基本的な指導は通常の刑務所同様、(1)労働などの作業、(2)自身の犯罪を自覚させる改善指導、(3)及び義務教育を満足に修了していない受刑者に基礎的な勉強を教える教科指導、の三つから成り立っています。つまり、(1)にあたる、前述した函館少年刑務所のような作業は、全国で取り組まれているのです。受刑者が製作したものは、矯正展という形式で一般にも販売されるので、興味のある方はそうしたチャンスを狙ってみては?

 こうした作業はさせられる当事者にはさぞかし不評かと思いきや、「矯正局が出所時に行っているアンケート」では、作業を行うことに対してなんら不満のない人が約40%で一位と、意外なほど好意的に受け止められているようです。自由の少ない受刑者にとって、体を動かして働く時間というのは、貴重なのかもしれません。ただ同時に「社会復帰に役立たない作業が多い」と回答している人も約37%いて、即戦力となる技能を身につけたい受刑者と、それに応えきれていない施設側、という点が見えてきて、今後の課題として考えていく必要がありそうです。

 刑が確定した後の少年たちの様子というのは、プライバシーの観点からもなかなか知ることはできません。しかし、マル獄前掛けのヒットのような機会に出会える受刑者は決して多くないでしょうが、それぞれの受刑者が製作したものを、矯正展などを通じ周りの人たちが目に見える形で認めること。それが彼らの自信につながり、更生に一役買う結果となるのではないでしょうか。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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