きょういくじん会議
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新指導要領(国語)の具体化を―ことばと学びをひらく会
kyoikujin
2008/10/31 掲載

 26日に開催された「ことばと学びをひらく会」(木まさき会長)第2回研究大会は、定員いっぱい350名の参加者であふれていました。「新学習指導要領『国語』を教室で具体化する」と題し、今まさにホットな話題を実践的に提供した様子をリポートいたします。

基調講演:「リテラシー」獲得のためのリテラシー

 木まさき会長(横浜国立大学教授)による基調講演では、「知識基盤社会」を生き抜くためのリテラシーを育てよう、という大きな目標を提示しました。
 価値が多様化して何が起こるかわからない社会―そこでは価値追随型の思考から価値創造型の思考へ、知識や技能を自らの力で更新し続けられる力へ、という方向に学びをシフトせざるをえません。その力を、「リテラシー」獲得のためのリテラシーととらえて国語科のあり方を探る、参加者にとっても今後の授業観・教育観を揺さぶられた、まさにこの研究大会の「基調」を示す講演でした。

記念講演:国語力=論理力を育むことばの教育

 続く、内田伸子教授(お茶の水女子大学)による記念講演は、PISA型読解力や言語力育成協力者会議等の議論をふまえ、映像や音声を多用してテンポ良く進められました。
 広島県の小学校の「論理科」の試みや、ご専門の発達心理学などの知見をもとにした盛りだくさんの内容は、70分間の講演が短く感じられるほど。日米の談話構造の比較から得られた「因果律」を用いた指導の有用性には、これからの授業への大きなヒントが得られたような思いがしました。

ワークショップ・講座

 午後は、6つのワークショップと2つの講座で幕が開きました。
 著名な実践家の先生方によるワークショップは、PISA型読解力を向上させるNIE論理的な思考法小学校古典非連続型テキストなど、どれも覗いてみたいものばかり。それぞれ30名の定員で埋め尽くされました。

シンポジウム

 シンポジウムは、コーディネーターに甲斐雄一郎教授(筑波大学・本会副会長)、シンポジストに木まさき会長・藤森裕治教授(信州大学)・森山卓郎教授(京都教育大学)を迎えて、「新学習指導要領『国語』の可能性〜『メディア』をキーワードに〜」と題して行われました。
 指導要領に示された「朗読劇や群読」をもメディアとして考えると…、「メディア」を「言葉や情報の乗り物」ととらえると…、「メディアとしての言語」を使ってどう考えさせるか…、などの切り口から充実した楽しいシンポジウムが展開されました。

まとめの言葉

 甲斐雄一郎副会長による「国語教育38年周期説」を核とした、「国語科の過去・現在・未来」と題した講演。過去の学習指導要領の歴史をふり返り、平成20年版学習指導要領は一つの完成形とした上で、38年周期説が本当なら次回改訂時には大幅に変わる可能性が!? という興味深い見方を示されました。これからの10年が楽しみになる、まとめの言葉でした。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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