きょういくじん会議
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勉強机が実験室に早がわり―パーソナルデスクラボ
kyoikujin
2008/11/9 掲載
すごい!うちでもこんな実験ができるんだ!!―米村でんじろう先生のスーパー個人授業

 理科離れを防ぐためには「実験」「実体験」をするとよい、とよく言われます。しかし、科学を実体験しようと思っても、大型の実験器具を使う場所や時間は限られているのが現実。とくに大学では受講人数が多いため、なおさらです。科学の「実体験」の場を増やし、理科離れを防ぐため、千葉大学では、「パーソナルデスクラボ」という教育活動を行っています。

 「パーソナルデスクラボ(PDL)」とは、従来の大型装置を使わずに、実験装置を単純化することで個人による実験を可能にし、すべての学生に手を動かし実験してもらって内容を定着させようという教育の取り組みです。昨年の9月5日の記事で「マイクロスケール実験」をご紹介しましたが、同じように実験の装置・規模を小さくして、きめ細かい指導を行うという取り組みが、大学でも行われているのですね。

 マイクロスケール実験では、時間の節約、省資源、生徒の関心が深まることなどをメリットしてあげていましたが、PDLのメリットとしてあげられているのが、このようなことに加えて、実験装置の一部が壊れても替えることが簡単になること、そして、部品を「組み立てる」ことによって実験への理解が深まることです。たしかに、もうすでに組み立てられたしくみのわからない装置で実験するよりも、自分で装置を組み立てるほうが面白いし、結果に納得がいきそうです。
 例えば、PDLの磁場実験の実験装置の開発に関わった内田洋行教育総合研究所の運営するサイトで紹介されている「電流磁場実験装置」は、簡単な装置にも見えますが、組み立てる、手を動かすことで、電流の向きと磁場の向きの関係をより強く意識できそうです。
 学生のアンケートでも、自分で組み立てることの面白さ、わかりやすさは好評のようです。

 ただ、これらの器具をつくるのに必要な材料は低コストで抑えられるそうですが、PDLの実験装置は、単純なしくみに見えて、作るのはなかなか大変なようです。磁場実験装置100セットがすべて手作りということですが、驚きです。これをどう効率化するかが課題となるのではないかと思いますが、今後この装置が普及し、技術が高まれば、更に低コスト化がのぞめるはずです。
 千葉大学では、普及活動も広く行っており、中学や高校の教員への研修、また高校への貸し出しも行っているということです。あなたの学校でも試してみてはいかがでしょうか?

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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