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子どもの事故を防ぐために―絵本で学ぶ身近な危険
kyoikujin
2008/11/11 掲載
危険学のすすめ

 近年、子どもを取り巻く環境は大きく変化しています。しかし一方で、日常生活における子どもの不慮の事故は、何度も同じことが繰り返されていると言われています。
 8日の毎日新聞の記事によると、子どもたちに階段やドア、遊具など、日常に潜む身近な危険を知ってもらおうと、研究者や民間企業の有志が協力して絵本を製作し、全国の幼稚園に無料配布を始めたそうです。今までに、交通安全をテーマにした本はあるものの、日常生活での注意を伝える絵本はなく、子どもの危機意識を育むための新しい取り組みとなりそうです。

 これまでにも、保護者など大人に対しては、子どもの周りの危険について学ぶ取り組みが行われてきました。例えば東京都は、福祉保健局のホームページ上で、乳幼児期の事故防止学習ソフト「見つけて防ごう!子どもにとっての身近な危険」を公開しており、子どもの年齢と成長段階に応じて身の回りにどんな危険があるのかを簡単なクイズなどで知ることができます。
 また、今年から経済産業省では、平成19年度に収集した子どもの事故の分析結果を情報発信サイト「キッズデザインの輪」で発信しています。「キッズデザインの輪」では、典型的な事故パターンをCGで公開しているほか、事故データの収集結果をグラフで見ることができ、年齢や性別、事故の起きた時間帯などを絞り込んで、事故のデータを検索することもできます。
 これらを利用して、大人が、成長段階に応じた子どもの事故のパターンや応急処置の方法について知識を深めることは重要なことに違いありません。しかし、普段どんなに気をつけていても、ちょっと保護者が目を離したすきに好奇心旺盛な子どもたちが危険な目にあう、という事故も少なくないようです。周りの大人が目を配るだけではなく、危険性をわかりやすく子どもたちに伝えることも大切なのではないでしょうか。

 厚生労働省が発表している人口動態調査において、0歳をのぞいた1〜19歳の子どもの死因の第1位は「不慮の事故」となっています。この状況は1960年以降、現在までまったく変化がみられません。
 子どもの身体面・心理面の発達状況を理解し、大人と子どもの双方が危機意識を持つことで、子どもの事故を未然に防いでいけるといいですね。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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