きょういくじん会議
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教育にお金を! ドイツで中高生たちがデモ
kyoikujin oec
2008/11/20 掲載

 13日の朝日新聞などで報じられているように、12日、ドイツ各地で10万人を超える生徒や教師たちが、教育行政の改善を求めてデモを行ったそうです。これまで順調な成長を続けてきたEUも、世界的経済危機の影響を受けて今後はマイナス成長が予想されており、経済危機の中での教育予算という問題を浮き彫りにする出来事だと言えそうです。

ドイツと日本の教育の違い―学費

 今回デモを起こしたのは、ドイツで義務教育を受けている子どもたち。教育改革や設備の充実を求めて授業をボイコットしたそうです。日本ではとても想像できない事態ですが、もともとドイツでは、大学ですら授業料が無料という政策が長く続いていました。それが近年の財政逼迫を受けて有料化する傾向にあり、それに反発した大学生による抗議行動は、頻繁に起きていたようです。
 文部科学省の平成18年度子どもの学習費調査によれば、日本の高等学校における一年の授業料の平均は、公立で約10万円、私立で約30万円となっており、単純な比較は出来ませんが、ドイツでは少なくともこれらの金額を地方行政が負担しているということになります。

ドイツと日本の教育―制度

 また、ドイツと日本の違いでよく言われるのが、「日本は単線型、ドイツは複線型」という言い方です。
 日本は小学校・中学校という9年間の義務教育のあと、9割を超える子どもが高等学校に進学し、4割強が大学に進学します。ある程度専門性によって選択の余地はあるもののほぼ一直線です。
 それに対して、ドイツでは、基礎学校を卒業後、10歳前後で進路の選択を迫られます。大学へ進学するためにギムナジウムへ進むか、専門性の強い職業学校に進むかなど、多くのルートに分化するため、子どもたちは将来について意識せざるを得なくなります。そのため、今回のように、行政に対する問題意識が日本よりも強いと言えるのかもしれません。

 今回のドイツの出来事は、日本の教育制度について考える一つのきっかけとなりそうです。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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