- きょういくじん会議
2008年11月14日、株式会社矢野経済研究所は、「教育産業市場に関する調査結果2008」(PDF)を発表しました。2007年度の教育産業市場の動向は? 本サイトの記事なども振り返りながら、教育産業市場の動向を少し見つめてみます。
今回の調査での教育産業市場とは、学習塾、英会話・語学学校、資格取得、検定試験、カルチャーセンター、幼児教育、企業向け研修、eラーニング、幼児通信教育、学生向け通信教育、社会人向け通信教育、英語教材の12分野。12分野合わせた市場全体は2兆6,946億円で、前年度比1.4%減だったようです。
学習塾市場、9550億円→9400億円に縮小(前年度比1.6%減)
同研究所の発表によると、「地方都市における高校受験向けのサービスが伸び悩んでいる一方で、首都圏、それ以外の地域でも中学受験が活況を呈している」という状況のようです。以前の本サイトの記事で紹介した、文部科学省による「子どもの学校外での学習活動に関する実態調査」でも、小学生の塾通いの割合は上昇、中学生の割合は低下、という結果でした。早い時期から塾に通わせ、受験をさせるのであれば高校ではなく中学から、と考える保護者の方が多くなっているのかもしれません。
資格検定市場、407億円→415億円に拡大(前年度比2.0%増)
「日本語検定」、「パパ力検定」、「歴史能力検定」、「ふるさと秦野検定」、「ニュース時事能力検定」、「eco検定」…。本サイトで多くの検定を取り上げたことからも、世の中が「検定ブーム」であったことがわかります。ブームといわれるだけあって数回で消えていく検定も出てきそうですが…。消える検定と生き残る検定、ここ数年ではっきりしそうですね。
eラーニング市場、1,244億円→1,341億円に拡大(前年度比7.8%増)
今回の調査のeラーニング市場には、「インターネット、イントラネットを介した学習システム・サービス」のほか、「PC向け学習ソフト、衛星通信による学習、ゲーム機用学習ソフトウェア」もふくまれています。ニンテンドーDSなどの売上などもありますので、拡大はうなずける結果です。テレビをつければ毎日何かしらのクイズ番組が放送されている最近のテレビ事情。先に紹介した検定市場ともつながりますが、世の中全体に、大人の「お勉強」が流行った年だったといえるのかもしれません。
教育産業全体を大きく見渡せるこの調査。ほかにも「NOVAショック」や「資格バブル」崩壊などにも触れていて、同じ教育産業に身を置く者として、なかなか興味深く感じました。
さて、来年の教育産業はどうなるか、引き続き注目ですね。