きょういくじん会議
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期待高まる地球儀の力―新学習指導要領を受けて
kyoikujin
2008/12/17 掲載
透明地球儀airglobe

 11月25日の朝日新聞の記事では、最盛期を迎えている地球儀製造メーカーの様子が伝えられています。この地球儀の需要の高まりは、小中学校の社会科の新しい学習指導要領で謳われている「地球儀の活用」を受けてのこと。今回は地球儀についての話題を、学習指導要領にも触れながらみてみたいと思います。

 「地球儀の活用」は小学校では第5学年の目標部分で新たに指導要領に加えられた文言で、来年からの移行措置の目玉のひとつです。その内容は下記のようになっています。

 社会的事象を具体的に調査するとともに、地図や地球儀、統計などの各種の基礎的資料を効果的に活用し、社会的事象の意味について考える力、調べたことや考えたことを表現する力を育てるようにする。

 指導要領のなかで基礎資料のひとつとしての位置づけですが、地球儀には地図にはない見た目のわかりやすさが強みであり、魅力ではないでしょうか。

グリーンランドの大きさは?

 以前に研究会でお話を伺った先生から、グリーンランドの国土の大きさを勘違いしている児童がいるという話を聞きました。というのも、私たちが普段見慣れている世界地図(※)は、オーストラリア大陸よりもグリーンランドが大きく描かれているものが多いです。それを児童はそのまま受け取ってしまい、その大きさからグリーンランドが大きいと判断してしまいます。地図の場合は描き方によって、ゆがみや誤差が生じますが、一方で地球儀は方位、距離、面積がほぼ正確に描かれているので、小学生に世界の国々などを学習させるときには、よい教育材ということがいえるかもしれません。

地理学習の調査によると…

 また別の問題としては以前のきょういくじんでも紹介された、国立教育政策研究所発表の「特定の課題に関する調査(社会)」では、中学校の地理授業の問題点が浮かび上がってきています。

「世界の主な国の名前と位置」の学習で、地球儀を活用して学習しましたか。

というアンケートで、「よくしている」または「ある程度している」と答えた先生は68.3%と7割の先生が地球儀の活用をしているようです。同じ質問を生徒にぶつけてみると25.7%と、その認識に大きな差があることがわかります。約7割の先生が地球儀や地図を使った授業を行っていた一方で、生徒はその内容を受け取ることができなかったようです。今後移行措置の実施によって、効果的な使用、活用法の議論が生まれることを願いたいです。

地球儀はいかが?

 地球儀ひとつとっても安価なものから、高価なものまでいろいろとありますが、授業で使える実験器具などを扱う仮説社透明地球儀 エアグローブはおすすめです。ビニール製で空気を入れて膨らますタイプのもので、地表面が半透明となっているため、地球の裏側の地点がどこかが一目でわかる仕組みになっています。おまけにお値段も500円を切る価格です。教室に、家庭にひとつ地球儀はいかがでしょうか?

※ ここでいう世界地図は、ミラー図法で描かれた地図を指します。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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