きょういくじん会議
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「アニメの教科書」製作―東京都
kyoikujin
2008/12/21 掲載
「いのち」と「こころ」の教科書

 12月15日、東京都は「アニメの教科書」が完成したことを発表しました。アニメ産業の振興に必要な人材の育成を目的とし、アニメ製作を志す学生や若手アニメーターが読者対象とのこと。16日から購入のための予約も始まっているようです。

 アニメと教科書…。少し不思議な組み合わせのようにも思いますが、最近は大学にもアニメを専門とする学部が創設されていますので、世界に誇る日本の産業として、アニメの位置づけが高まっているのは確かなようですね。

 会社でのある編集会議のひとコマ。4年生で学習する「世界とつながる東京」という単元について検討をする、東京都の小学校に勤務する先生と編集者の会話にこんなものがありました。
編集者「大使館や迎賓館、港や空港…、世界とつながる東京を示そうとすると、どうしても都心に集中してしまいます。」
先生「アニメでつながる東京と世界という取り上げ方もありますよ。そうすればアニメの制作会社の多い杉並区やジブリ博物館のある三鷹市も世界とつながる場所として示すことができるんじゃないかな。」

 その後、その先生のお話を受けて、杉並区について調べてみると、区のホームページでも「アニメのまち・杉並」として特集が組まれていました。それによると、全国にある約400のアニメスタジオのうち、約70が杉並区にあり、杉並区は世界有数のアニメの集積地であるとのこと。また、「杉並アニメーションミュージアム」というミュージアムも設置されています。
 アニメでつながる東京と世界という取り上げ方なら、子どもたちの興味も高められそうですね。

 さて、冒頭の東京都の発表では、「アニメ業界では、人材育成の体系的教育カリキュラムが整備されてこなかったため、優れた発想や制作力を備えた若手クリエーターの人材不足が課題となっている」とありました。アニメクリエーターというと、人気の高そうな職業なだけに人材不足というのは意外に感じますね。
 「アニメの教科書」の販売開始は25日から、価格は四編セットで9,800円と少しお高め(?)。制作力は別として、優れた発想が体系的教育カリキュラムから生まれるか…、というのは少し疑問に思うところもありますが、興味のある方は中身をご覧になってはいかがでしょうか。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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