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「いぶき」、小型副衛星、打ち上げ成功
kyoikujin
2009/1/27 掲載
宇宙からみた地球環境―まんが+衛星画像

 23日、種子島宇宙センターから温室効果ガス観測技術衛星「いぶき(GOSAT:Greenhouse Gases Observing Satellite)」が打ち上げられた。「いぶき」は、地球温暖化の原因と考えられている温室効果ガスの濃度分布を高精細に観測するための衛星で、主なミッションは、世界各地域の温室効果ガスの吸収・排出の状況を把握することである。今回のH-UAロケット15号機の打ち上げでは、「いぶき」とともに、相乗りで、過去最多の7基の小型副衛星も打ち上げられた。

 これらの副衛星は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「小型実証衛星1型」(SDS-1)以外は公募で選ばれた衛星であるが、いずれも大学や企業などが開発したものである。東大阪市の航空機部品や電子制御機器メーカーなどが、大阪府立大や大阪大、龍谷大の学生らの協力も得て開発した「まいど1号」は有名だが、他にも東北大のスプライト観測衛星「SPRITE-SAT」(愛称「雷神」)、都立産業技術高専の「KKS-1(Kouku Kousen Satellite - 1)」(愛称「輝汐(きせき)」)、香川大の「STARS」(愛称「KUKAI」)、東京大の「PRISM」(愛称「ひとみ」)などがあり、それぞれ大学や高専が開発に携わっている。

 従来、人工衛星の開発は各国の宇宙機関や大手メーカーが行ってきたため、若い学生が衛星を作ることは難しかったようだが、今回、衛星「STARS」(愛称「KUKAI」)を打ち上げた香川衛星開発プロジェクトSTARSの記事によると、大学による小型衛星の開発は盛んになってきているそうだ。その特徴として、

  1. 短期間開発が可能であること
  2. 低コストであること
  3. 教育効果があること

があるようだ。小型衛星は、通常の衛星より短期間・低コストで最新の技術がいち早く試せるという。また、大学で開発を行い、プロジェクトを通してものづくりを体験することによる教育効果も大きいようだ。「まいど1号」のように、企業と連携すれば、さらに企業の技術を、学生に伝えられるという面でもメリットは多そうだ。いずれにせよ、民間企業や大学等が製作する小型衛星の打ち上げという今回の機会は、地域産業の活性化や、教育・人材育成につながる新しい試みであった。今後、この成果をまとめ、技術を伝えていく方法を確立させることに期待がかかる。
 また、各メディアは、衛星を開発した大学の地元の子どもたちが衛星の打ち上げを見守るようすなどを報道しているが、今回の試みが子どもたちが宇宙開発に興味を示すきっかけとなることを願いたい。

 ところで、「いぶき」打ち上げダイジェスト映像が、JAXAのサイトから見ることができる。打ち上げの時の感動がリアルに伝わってくるので、是非ご覧あれ。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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