きょういくじん会議
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大盛況―社会科フォーラム in 千葉
kyoikujin
2009/2/10 掲載

 7日、千葉市立高浜第一小学校(根本正雄校長)で社会科フォーラムが行われた。何よりも話題を呼んだのが、現役の文科省教科調査官による授業。北海道から沖縄まで全国から700名以上が参加して大いに盛り上がりを見せた。

 大会テーマは「新学習指導要領“社会科の重点指導事項”とは何か 」。このテーマで、同校の3〜6年生の全学級が授業公開を行ったほか、1・2年生による音読・暗唱発表会、提案授業として玉川大学准教授の谷和樹氏による「金融のしくみ」の授業、文科省教科調査官の安野功氏による「都道府県の名称と位置」の授業が行われた。

 谷氏の「金融のしくみ 」の授業は、小学5年生には内容的に難しいかと思われたが、スマートボードを使って政府・会社・家計・銀行それぞれの特質とそれぞれの間のお金の動きについて、非常にわかりやすく展開された。初めての課題にもかかわらず、子どもたちも懸命に考えたくなる発問・指示・リズムとテンポで構成された見事なもの。

 安野氏の「都道府県の名称と位置」の授業は、4年生を対象に、自分たちの住む千葉県が様々な都道府県と関わりを持っていることを実感できる、単なる教え込みにならないよう周到に工夫されたものだった。ギターによる弾き語りあり、「ドンドンパッ(北海道!など地図で指し示した都道府県名を答えさせる際の掛け声)」など独特な間あり、と教師としてのキャラクターを前面に生かした授業は10年以上現場を離れていたとは思えないほど。

 立会い授業の様相を呈したことで、その後の授業検討を兼ねたシンポジウムがさらに盛り上がりを見せる。検討しやすい指導案形式については安野氏に、授業そのものは谷氏に軍配が上がった。
 その他、シンポジウムの過程で、30年前に比べて今の子どもは一日あたりの歩数が13000歩も減っている、行動半径が極端に狭まっている現状を踏まえて地図指導を行わなければならない、という千葉大の明石教授による子ども像の変化の報告は驚きだった。

 今次の学習指導要領では、言語活動の充実や理数教育の充実がスローガンに掲げられ、社会科は話題に上ることが少ない。しかしこの社会科フォーラムの盛況は、これからの社会を生き抜く子どもを育てるんだ!という社会科教育のパワーを感じる一日となった。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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