- きょういくじん会議
![シブヤ大学の教科書](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/P/4062142775.01.MZZZZZZZ.jpg)
校舎がなく、入試もなく、誰もが自由に参加できる大学があると聞いたら、みなさんは信じられますか? そんな不思議な学校「シブヤ大学」 の、街を巻き込んだ取り組みが、注目を集めつつあります。
「シブヤ大学」は、特定NPO法人シブヤ大学が運営するプロジェクトで、2006年に全く新しいコンセプトを持って開校した学校です。法律の上では正式な学校ではなく、生涯学習を推進する活動ですので、年齢を問わず誰もが参加でき、もちろん入試も単位もありません。参加するのはとても簡単で、Webで学生登録をし、授業の予約をするだけです。
特定の校舎や教室はなく、渋谷にあるお店や学校の中、はたまた表参道や夜の明治神宮など、授業ごとに適した場所で行われています。まさに渋谷区そのものがキャンパスとなっているのです。
講師は公募によって集い、基本的にボランティアとして参加します。教えたい気持ちがあり、渋谷になんらかのかかわりのある人なら、誰でも応募ができ、審査や面接を通して講師となることができます。教える人と教わる人が固定されない教育を目指しているので、たとえば小学生による「兄弟ゲンカの仲直りの仕方」や、中学生による「世界史のここがわからない!」など、ユニークな学び合いが生まれる可能性もあるそうです。
講師陣の紹介を見ると、登録講師数はなんと約300人。有名ミュージシャンから、本物の大学の先生まで、多種多様な人が集まり、それぞれにオリジナリティあふれる授業を行っています。
地域連携、産官学連携の学び合いで、街を活性化!
シブヤ大学の大きな特徴の1つに、地域と最大限に連携を取り、教育を通して街を活性化させようという姿勢があります。授業でも、渋谷にある企業や店舗とのコラボレーションはもちろん、明治神宮や首都高速といった渋谷のスポットを、そこの職員に案内してもらえる課外授業など、地域の特性を生かした内容が組み込まれています。
また、街ぐるみの「学割」システムが導入され、シブヤ大学に登録した学生ならば、協賛するカフェや映画館などで特典を受けられます。協賛店にとってもシブヤ大学生の利用が増えるので、お互いに得をするシステムといえそうです。
渋谷にある小中学校との連携も積極的に進められています。学校の先生からの要望を聞いて、シブヤ大学が企業やNPO・NGOとのコラボレーション授業をプロデュースする活動で、多くの人や企業とかかわり合うシブヤ大学のコネクションが生かされます。ユニークな学びの場を提案してくれるのでは、と期待が持てますよね。
このように、街ぐるみで教育に取り組み、教育を通して街を活性化させるという、とてもポジティブな循環が渋谷の街で生まれています。2007年からは、京都カラスマ大学という姉妹校も誕生し、少しずつ全国へ取り組みが広まっています。お近くにお住まいの方は、産官学の垣根を越えた新しい教育の姿を、一度ご覧になってみてはいかがでしょうか?
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