- きょういくじん会議
![消滅の危機に瀕した世界の言語―ことばと文化の多様性を守るために (明石ライブラリー)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/P/4750316016.01.MZZZZZZZ.jpg)
日本語のうち、8語は消滅の危機にある―これはどういう意味だかわかりますか? 日本で話されている言語は、私たちが一般に話している「日本語」、いわゆる共通語だけだと認識されている方も多いのではないでしょうか。実は、国際的基準だと、日本でもアイヌ語や八丈島、南西諸島などの方言は独立の言語として扱うのが妥当であり、さらにこれらの言語は消滅の危機に瀕していることが発表されました。
2月20日の朝日新聞の記事によると、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の言語調査によって、全世界に6000前後あるとされる言語のうち2500言語は消滅の危機にさらされていることが明らかになりました。日本でもアイヌ語、八重山語、与那国語、沖縄語、国頭(くにがみ)語、宮古語、奄美語、八丈語の8語が危険な状態にある言語だと分類されたそうです。
急速に少なくなる言語
近年、言語の消滅が世界規模で急速に進んでいます。一説によれば、現在は2週間に1言語のペースで言語が少なくなっているとも言われています。私たちの日常を考えてみても、テレビなどマスメディアの普及によって特に若い世代の方言離れが進んでいる、というのは納得できますね。方言が強い地方でも、方言が理解できない、もしくは理解はできるが自分ではしゃべれない、といった若者が増えているようです。
言語の多様性が失われるということは、その地方の個々の風土・自然環境を適切に表現する方法が失われるという意味も持っており、単純にその地方の文化が失われるだけでなく、認知科学や自然科学の研究にとって大きな損害となり得ます。
少数言語に関する意識の変化
言語の消滅は止められないのでしょうか? まだまだ世界的にみても危機に瀕した言語の研究に対する意識は高いといえるレベルにはないようですが、日本でも2003年にNPO法人「地球ことば村・世界言語博物館」が立ち上げられ、次第に危機感は高まってきているようです。話し手が確実に少なくなっていく以上、少数言語の完全な復興・維持は難しいとしても、何とかして今残っている言語を理解し、記録しようとする動きが広がってきています。
今回消滅の危険性があると分類された八重山語をはじめ、国内の小学校でも全国的に郷土の方言を学ぶ授業が広がりをみせています。まずは身近なところから方言を見直してみるのもいいかもしれませんね。
- 消滅の危機に瀕した言葉たち(微生物管理機構)
http://www.microbes.jp/rika/rika_no11/rika_no11.htm - 絶滅に瀕した言語(Endangered Language)の継承と生物多様性確保の共通点
http://www.mri.co.jp/COLUMN/ECO/UCHINO/2004/1108UT.html - これぞ沖縄? 島民一丸となった学校教育―竹富小中学校(2008/5/10)
http://www.meijitosho.co.jp/eduzine/kaigi/?id=20080222
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