- きょういくじん会議
新しい学習指導要領で重視される「言語活動」―。先生方は、学校でどのような対策をしていこうか、すでにイメージが湧いてますか? 13日に全日本教職員連盟が、「言語活動の充実についての調査」(PDF)を発表していますので、少しご紹介します。
この調査は、今年1月30日から2月16日までの間に全国の600名の先生を対象に行ったものです。
言語能力やコミュニケーション能力の課題は?
「語彙が少ない」(58.6%)「敬語を正しく使うことができない」(55.8%)などの選択肢を上回って、もっとも回答の割合が高かったのは、「うざい、死ね、など、相手を極度に傷付ける言葉を平気で使う」(64.8%)でした。また、「自分の思いばかりを主張してしまい、相手の思いを感じ取ることができない」(52.6%)を選んだ回答も多く、言語の能力そのものよりも、コミュニケーションをする能力のなさを課題と考えている人が多いことがよくわかります。この調査は学校種別の結果もわかるのですが、「うざい、死ね〜」の回答の割合は、小学校60.5%→中学校78.3%→高等学校62.5%と、中学校がもっとも高い数字で約8割にものぼりました。
言語能力やコミュニケーション能力の課題が生じている原因は?
ここで圧倒的に高い回答だったのは、「核家族化や共働き家庭の増加による家族間の関わりの減少」(81.4%)でした。次に高いのは、「ゲームの普及」(69.5%)、「テレビを中心としたマスコミの影響」(60.4%)でした。
選択肢には、「国語の時数や内容の減少」「授業の中での議論や論述等の活動の減少」など、学校での活動に関わる項目もあったのですが、それらは、20%未満の低い回答でした。
同じ質問を保護者にしたら、かなり違った結果になるのではないか。思わずそう考えてしまうのは、意地悪な見方でしょうか。
言語能力やコミュニケーション能力の課題に対する改善策は?
この質問では、「マスコミ(番組作り)」「パソコン・インターネット」「ゲーム」「携帯電話」などへの規制や、危険性の警告といった項目がそれぞれ高い回答を占めました。また、ここでは、「各教科の学習の中で、議論や論述等の活動を充実する」という学校に関わる項目も44.9%と比較的高い回答になっています。新学習指導要領の内容を受けると、当然望まれる改善策といえるでしょう。
この調査の最後には、有効だと思われる活動例についての回答がいくつか紹介されています。実践例も含まれていますので、なかなか興味深く感じました。
さて、この調査についてあれこれ考えてていたころ、こんなニュースも…。
27日の時事通信の記事によると、内閣府は「世界青年意識調査」の結果を公表したそうです。「学校に通う意義は?」という質問について、欧米では「知識を身に付ける」という回答が多かったのに対し、日本は「友情をはぐくむ」が最も多かったとのことです。
「友情をはぐくむ」ためには、相手を思いやる気持ちをきちんと表現して、意思疎通を図っていくことが欠かせません。 服装と同じように、言葉遣いが乱暴になると気持ちが乱れ、気持ちが乱れると言葉遣いが乱暴になっていくという連鎖がある気がします。「うざい」「死ね」より「ありがとう」がたくさん聞こえる学校がいいですね。
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