きょういくじん会議
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不況知らず? 求人数・教育費削減からみる教育業界
kyoikujin
2009/4/6 掲載
教育貧民―減収増税時代でも減らない「教育費」事情

 今、ニュースを見れば不況という言葉を聞かない日はないのではないでしょうか。人員削減をする企業、家計を切り詰める家庭、それぞれの場所で不況対策がとられています。

 しかし、教育業界は「不況知らず」とも言われているようです。今回は、その視点から教育業界の動向をみてみたいと思います。

比較的安定している教育業界の求人数

 不景気.comによれば、どの業種も求人数が約半数減少している中、「教育」と「ヘルスケア」の分野は減少の割合が1桁となっています。教育は、不況であっても子どもがいる限り必然的なものであるため、人員が大幅に減ることはないようです。
 教師について言えば、以前の記事でもお伝えしましたが、団塊の世代の退職により都市部を中心に競争倍率が下がり、各教育委員会で教員獲得の動きが見られます。

不況による進学ブーム(オーストラリア)

 3月27日の共同通信によると、オーストラリアでは、就職難により大学や大学院への進学者が増加しているそうです。
 さらに学生が志望する専攻も、景気に左右されづらい「看護」や「教育」などが人気とのことです。

家計を圧迫しても教育費は削減しない保護者

 各家庭で家計が苦しくなったときに、「教育費」を削る割合は少ないようです。子育て・育児支援のポータルサイト「こそだて」を運営しているブライト・ウェイが行ったアンケート結果によれば、「あらゆる物が値上がりしています。何を一番に削りますか?」という質問に対して「教育費」と答えた割合は0.5%。最下位となっています。
 「子どもにはよい教育を受けさせたい」という親心はもちろんのこと、不況で就職難となり未来に不安を抱きやすいからこそ、食費や自分の衣類にかける出費をおさえてまでも、子どもの教育投資を強く意識する保護者が多いのかもしれません。

 とは言っても、3月30日の朝日新聞の記事のように、不況により学費の支払いが苦しくなっていたり、以前の記事にあるように、不況が進路選択に影響を与えている現状もあります。これに対応して「大学も不況対策で入学金・授業料免除や奨学金支給など」を行うところも出てきています。

 いろいろな観点からみると必ずしも教育業界は「不況知らず」とは言えませんが、まずは不況が子どもたちの教育や進路の妨げにならないことが求められます。そして、何よりも景気回復を願うばかりです。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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