- きょういくじん会議
18日付の読売新聞の記事によると、大阪府の枚方市が今月からブックスタートを始めるとのこと。小さな子どものいない家庭ではあまり聞きなれない言葉かもしれませんが、ブックスタートは日本全国の約3分の1以上の自治体が実施している、幼児への情操教育を促す取り組みです。
ブックスタートとは
NPOブックスタートのホームページには、「すべての赤ちゃんのまわりで楽しくあたたかいひとときが持たれることを願い、一人ひとりの赤ちゃんに、絵本を開く楽しい体験といっしょに、絵本を手渡す活動」とあります。具体的にいうと、その地域に生まれた全ての赤ちゃんと保護者に絵本をプレゼントし、読み聞かせなどを介した親子のふれあいや楽しみを体験してもらおうというのがブックスタートです。
ブックスタートの始まり
ブックスタートは1992年にイギリスのバーミンガムで生まれました。子どもに文字を覚えてもらうなどの目的で、メッセージを添えて絵本をプレゼントしていたのが始まりだとか。その後の調査などによって、絵本が子どものことばや考える力にも影響することが分かり、次第にブックスタート運動が盛んになっていったようです。
日本では2000年の「子ども読書年」推進会議で紹介されてから全国に広まり、世界で2番目にブックスタートを実施した国となりました。
ブックスタートの中身
赤ちゃんたちにプレゼントされるのは、ブックスタート・パックという絵本セット。読み聞かせのイラストアドバイス集や、おすすめ絵本リスト、よだれかけなどが、絵本と一緒にかわいらしいバッグに入っています(※自治体によって中身は異なるそう)。図書館の利用案内や地域の子育て支援機関一覧といった資料も入っているそうなので、県外から来た保護者の方にとっても大変役立つ内容となっているようです。
ブックスタートのこれから
日本でブックスタートが始まってから8年余り。最初に実施を決めた自治体はわずか12でしたが、今では全国1804の自治体中、686もの自治体がブックスタートを導入しています(2009年2月末現在)。中には予算の問題や、「自分で買わないと読み聞かせはしないだろう」などの消極的な意見から未だ実施に踏み切っていない自治体もあるようですが、市長に市民グループが陳情し、それが受け入れられて予算が通ってしまった例もあるほど。
日本でも、このイギリス発の取り組みが根付く日は遠い未来ではないかもしれませんね。
- 市長。「ブックスタート」しないの、うちだけですよ(asahi.com)
http://www.asahi.com/national/update/0131/TKY200901310160.html - 長野市:「ブックスタート事業」、初めての1冊贈ります 今夏から赤ちゃんに(毎日jp)
http://mainichi.jp/area/nagano/news/20090429ddlk20010009000c.html