きょういくじん会議
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「ググれ」が死語になる時代―調べ学習を変える次世代技術
kyoikujin oec
2009/5/26 掲載
ググる―検索エンジンGoogleを使ってネット上の情報を検索すること

 インターネットの検索サイト最大手といえば、Google。「Googleで調べる」という意味の「ググる」という新語まで誕生するほど社会に広く浸透したGoogleですが、「検索する」という言葉が意味する内容は、今後数年のうちに様変わりするかもしれません。

計算的な知識エンジン―Wolfram|Alpha

 19日のInternetWATCHの記事などで報じられているように、18日、アメリカでWolfram|Alpha(ウルフラムアルファ)が一般公開されました。これは、入力された言葉を解析し、計算して答える「計算的な知識エンジン」(Computational Knowledge Engine)とのことです。

 たとえば、「total GDP of japan and USA(日本とアメリカのGDPの合計)」と入力すると、Googleは「これらの語を含むかどうか」という「機械的な」基準でウェブページを検索するため、望む結果をすぐに得られないことがあります。
 ところが、Wolfram|Alphaの場合、独自のデータベースから日本とアメリカのGDPを合計し、表示します。現在はまだアルファ版ですが、ブログなどで利用者の反応を募り、継続的に改良を加えていくそうです。英語にしか対応していないのが残念ですが、人間との対話のように意を汲んだ答えを返してくれる検索エンジンが実現する日も遠くないのかもしれません。

拡張現実が示す未来―セカイカメラ

 また、屋内でパソコンに向かって調べるというスタイル自体が変容するかもしれません。
 Cnetの記事などで紹介されている「セカイカメラ」は、現実世界に電子的な情報を付け加える「拡張現実」を実現させたもの。
 現実のある場所や物を「セカイカメラ」を通じて見ると、「エアタグ」と呼ばれる電子情報が現れ、その場所や物に関するさまざまな情報を共有することができるようになります。美術館などでの実験例が公開されていますが、展示品に関する情報を見たり、ほかの人の感想を読んだり、自分で何かを書きこんだりすることができます。
 現在は限られた場所での取り組みに留まっていますが、この技術が普及すれば、修学旅行で奈良の仏像を見たら、その歴史をすぐに復習したり、鎌倉の大仏を重ねて大きさ比較をしてみたり、ほかの子どもたちのコメントを読んで共感したりできるようになるかもしれません。

「信頼性の高さ」を掲げるネット辞書、「よみがな」をふるツールなど

 今まではやや先進的な技術を紹介しましたが、すぐに調べ学習の役に立つ、新しい切り口による試みをいくつか紹介します。

 kotobankは、朝日新聞、講談社、小学館などの辞書から44万語の用語検索が行えるというもの。ネットの辞書といえばWikipediaが有名ですが、誰でも編集できる反面、信頼性が確約されていないWikipediaと違い、信頼性の高い新聞社・出版社の辞典・辞書から引用していることが特徴です。

 また、21日から公開されたYahoo!きっずツールバーは、小学生から中学生のブラウジングをサポートするサービス。Internet Explorerなどのブラウザに組み込むと、簡単にYahoo!きっず検索を行えるほか、Yahoo!以外の様々なサイトでも「よみがなツール」を使えるようになりました。(*ただし、よみがなの精度はまだ完璧とはいかないようです。)

 ネットの技術やサービスは日々進歩を遂げています。調べ学習も、昨日と同じ方法だけを行うのではなく、常に新しい技術を取り入れて、学びの可能性を広げていくことが重要だと言えそうです。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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