きょういくじん会議
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子どもに人気! 「奇想の王国 だまし絵展」
kyoikujin
2009/7/29 掲載
図説 アイ・トリック―遊びの百科全書 (ふくろうの本)

 いま、渋谷の「Bunkamura ザ・ミュージアム」で開催中の「奇想の王国 だまし絵展」が、子どもに大人気であるようだ。夏休みがはじまったこともあってか、当日券は行列をつくるほどの人気ぶり。開館時間も連日21時までに延長しているほどだ。「だまし絵」という響きがいかにも子ども受けしそうであるが、いったいどのような展示の内容なのか。

 この展示では、「いかに本物に近く見せるか」という、典型的なだまし絵の手法を用いたものをはじめとし、実に様々な手法の作品が集まっている。ペレ・ボレル・デル・カソ『非難を逃れて』に代表されるように、絵の中に更に額縁などを描くことにより、平面の絵に描かれたものが立体的に、まるでとび出しているかように見せている作品や、1つの絵なのに見方によって他の絵にも見えるようにつくられたダブルイメージの作品、実際にはありえない立体(建物等)を平面に描いた作品等、一口にだまし絵といっても手法はさまざま。実際に作品を鑑賞している子どもたちも、「この作品はどのような仕掛けがあるのか」と、探しながら飽きずに楽しんでいる様子が伺える。
 中でも目を引くのは、パトリック・ヒューズの『水の都』。なんと大胆にとび出た凹凸面に、絵が遠近法とは逆に描いてあり、まるで本物の風景を見ているかのように見る角度によって見え方が変わるというもの。一番歓声があがっていた驚きの作品なので、ぜひ実際に行って見ていただきたいものである。

 仕掛けを楽しむだけでなく、純粋に美術作品としても評価の高い作品もあり、M.C.エッシャーやサルバドール・ダリなど、有名な画家の絵を見られるのも嬉しい。日本の作品コーナーでは世界的に有名な浮世絵師、歌川広重の作品もある。
 また、絵画だけでなく、実際の街をまるで玩具に見えるように撮影した本城直季氏の写真や、数々の立体作品も楽しめる。

 こうして一連の作品を見ていると、「見る」ということが、単に「目」だけをを使っているのではなく、「脳」を使った活動であることが本当によくわかる。そこまで意識できれば子ども達にも理科のお勉強になってよいのかも…? 実際にはそんなことを考えている子どもは少ないかもしれないが、ともあれ子どもにとっては興味をもって美術作品を楽しめる絶好の機会になりそう。
 この展示は8月16日まで開催予定で、8月26日(水)から11月3日(火・祝)までは兵庫県立美術館でも開催予定だそう。親子で連れ立って出かけられる機会の多いこの夏休み中に、ぜひ足を運んでみては?

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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