- きょういくじん会議
「時間学」という新たな学問の確立を目指す「日本時間学会」の設立総会が、13日に山口市の山口大学で開かれたそうだ。14日の毎日新聞が伝えている。この「時間学」とはどのような学問なのだろうか。
中心となって日本時間学会の設立準備を進めてきたのは山口大学に2000年に設立された、時間学研究所である。
「時間とは何か」「時間の最小単位とは」など、これまでも哲学や物理学などの観点から「時間」について語られることはあったが、「時間学」は、「時間」という共通の視点で、文理を問わず、多岐にわたる分野の研究者の交流をはかることを目指しているらしい。
時間学研究所の紹介の中で、同研究所所長の辻正二氏は、人間は(「時間」と「空間」からなる)「時空間」で生活していながら、これまでの科学で時間論よりも空間論が好まれてきたことを指摘し、時間について研究することの必要性を訴えている。また、同研究所の使命について以下のように述べている。
時間学研究所の使命は、文系・理系の連携によって「時間学」という新しい学問を切り開き、時間を科学的合理性のみから解釈するのではなく、人間的な世界における時間を取り戻すことにあります。
確かに、物理的な「時間」以外にも、「楽しい時間は短く感じる」など、人間が感じる「時間」というものもある。文学作品の中で使われる「時間」を示す表現の中には、物理的な意味以外に言葉が象徴するものがあるであろうし、代謝速度に依存した生理学的「時間」は、単に「1時間」といった「時間」とは意味合いが異なってくる。これらの「時間」を統合して考えることで人々の「時間」を豊かにする方策を探るということだが、どのように結果を残していけるのかが気になるところだ。
目に見えるものばかりにとらわれてしまいそうにもなるが、「時間」は我々の社会、生活、生命とは切っても切り離せないものであり、これを学問として研究することは必然にも思える。興味深い「時間学」の今後の展開に注目していきたい。