きょういくじん会議
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18歳はもうおとな? 18歳成人に賛否両論!
kyoikujin
2009/8/3 掲載
18歳が政治を変える!  ユース・デモクラシーとポリティカル・リテラシーの構築

 7月30日の読売新聞の記事によると,法相の諮問機関である法制審議会の民法成年年齢部会において,成人年齢を18歳に引き下げることを適当とする最終報告がまとめられたとのこと。2007年5月に成立した国民投票法を受けて,成人年齢の引き下げに関しての議論が重ねられ,一応の決着を見たわけですが,今後,民法や公職選挙法をはじめ,様々な法律の改正が必要となることもあり,クリアすべき課題も多そうです。

 そもそも,成人年齢の引き下げが議論されるきっかけとなった国民投票法では,附則の第三条で,

国は、この法律が施行されるまでの間に、年齢満十八年以上満二十年未満の者が国政選挙に参加することができること等となるよう、選挙権を有する者の年齢を定める公職選挙法、成年年齢を定める民法(明治二十九年法律第八十九号)その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとする。

と述べられており,国民投票法で原則18歳以上に与えられている選挙権と,公職選挙法に定められている選挙権,また民法上の成人年齢との齟齬を無くすために,議論が始められました。
 法制審議会の最終報告では,成人年齢を引き下げる意義として,少子高齢化が進行している中で,18歳19歳の者を大人として扱い,早期に社会・経済において責任ある重要な役割を果たさせることは,上の世代も含めて大人としての自覚を促し,社会に大きな活力をもたらす,と述べており,社会全体の活性化が進むと期待しているようです。
 しかし,一方で,報告書は現在の18歳,19歳の若者が充分に自立しているとも言い切れず,大人としての自覚に欠けている現状を指摘し,関係する法律を整備する時期は,関係省庁が成人年齢の引き下げの周知徹底を行ったのち,国会の判断に委ねるべき,とも述べています。

 成人年齢が引き下げられれば,18歳からクレジットやローンの契約を行ったり,馬券を購入したり,また,関係する法案が改正されれば,飲酒や喫煙も認められるようになります。また,報告書は男女での婚姻可能年齢を揃えることも提言しており,18歳になれば男女とも親の同意なしに結婚できるようになるかもしれません。
 18歳といえば現在では高校3年生が当たりますが,現状では高校3年生の時点でしっかりと自立した意識を持っている若者は少ないでしょう。最終報告では,成人年齢の引き下げを行えば,若者が悪徳商法やマルチ商法などの被害にあうことも懸念しており,君たちは明日から大人です,ではなく,きちんとした教育を中学校や高校で行う必要があるかもしれません。大人になることに伴う権利や責任というものをしっかりと理解させることが重要となってきそうです。
 報告書には,高校生や大学生,外国からの留学生のヒアリング結果などもあり,若者たちの率直な意見を見ることもできます。法律の改正はしばらく先になりそうですが,若い人であれば,自分が18歳になった時にきちんと大人として振舞えるのかどうか,すでに成人している方でも,大人とはどういうことなのか,しっかりと教えられるように意識していく機会としたいですね。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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