きょういくじん会議
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食農教育に新風―気軽に出来る農業のすすめ
kyoikujin
2009/8/18 掲載
Agrizm(アグリズム) 2009年 09月号

 以前のきょういくじん会議の記事でも取り上げたように、食の安全意識が高まるなか自分の手で野菜などの作物を育てようという活動が盛んになってきています。農家に転身しようとまでは思わなくとも、プランターを買ってきてベランダでミニトマトをつくって家庭菜園を始めた、なんてかたも多いのではないでしょうか。しかし、そんな「自家栽培」のイメージに新しい風を吹き込むような企業が注目されてきています。

 例えば、農協観光では稲刈りやアスパラガスの収穫体験ツアーなどを提供しており、毎日忙しい人でも1・2日さえあれば、水田に分け入り自然観察したり、収穫したばかりの味覚を味わうことができます。子どもたちと一緒に参加することで、人や自然との交流や食農教育のよい機会となっているようです。しかし、自分で種をまいて育てた物を自分で収穫して存分に味わいたいという希望もあることでしょう。かといって、家庭菜園ではある程度の場所が必要であるうえに大きな野菜は作れません。いざ始めたのはよかったけれど、いつの間にか雑草が群生していたなんてことにならないかという心配もあるのではないでしょうか。そのような方にお勧めなのが、「会員制ファーム」です。

 カズサ愛彩ファームが提案する「会員制ファーム」とは、農地使用料などの会費を払って月単位で5〜15坪の農地をレンタルするというもので、驚いたことに、ファームオーナーになっても種まきと収穫のみの参加も認められていて、栽培は本業の農家のかたに委託することができるというのです。自分の植えた作物の成長の様子は1週間ごとに写真で報告され、熟した頃合を見て収穫をします。これは作物につきっきりで世話をしなければならないという従来の農業のイメージを払拭するかのような試みと言えるのではないでしょうか。土地も時間もいらず、農業活動の醍醐味だけを味わえます。

自分の手で根気よくコツコツと作物を育ててこそ教育的活動になるといったご意見もあるでしょう。しかし、友達同士やご近所の家族同士で有志を募って農地を共同所有し、大勢でわいわい楽しみながら収穫の喜びを味わうというのもまた違った良さがあるのではないでしょうか。クラスで作物を作ろうにも学校内に畑として利用する土地が確保できないという学校にも朗報となるでしょう。また、農業に詳しいわけではないけれど個人で農作業をしてみたいというかたも、土壌づくりや作付け、現場での実践までファームインストラクターと呼ばれる農業のプロ耕作指導と栽培アドバイスをしてくれるので気軽に始められます。

自然に恵まれた場所での農作業の貴重な体験、そして安心して食べられる手ずから植えた野菜。そんな恵みにあずかれる機会が、今後もより増えていくことになりそうで、今から楽しみですね。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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