- きょういくじん会議
![ライオン・キング ミュージカル](https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/41N12Z558RL._SL150_.jpg)
夏も終わり、芸術の秋がやってきます。絵画もよいですが、演劇やミュージカル、舞踊などの舞台もよいものです。しかし、チケットの価格設定もあってか、舞台の鑑賞は、映画などと比べて敷居が高いと感じてしまいがち…。子どものころから舞台に慣れ親しんでいるという人も少ないのではないでしょうか。また、観劇をしようにも、クオリティの高い名の知れた劇団等は少ないですし、日本は舞台芸術人材が育ちにくい土壌であるようです。
舞台にふれる機会に乏しい子どもたち
7月に文化庁より発表された「舞台芸術人材の育成及び活用について」報告書本文(PDF)では、演劇の分野において、子どもの頃から本物にふれたり訓練したりする機会が乏しいことが指摘されています。舞台の中でもとくに演劇は、授業でふれられることがほとんどないため、もっと身近に感じられる機会を与えられなくては、人材の育成は難しいでしょう。文化庁では、学校教育や文化芸術団体等における演劇教育や演劇体験の充実を図ることが重要としています。学校の体育館などで演劇やミュージカル、バレエなどを行う本物の舞台芸術体験事業などが行われていますが、多様な舞台において、こうした取り組みは、ある程度継続的にやっていくことが必要でしょう。
また、高等教育においては実践的な育成の場、プロフェッショナルを育成する場が限られていることが指摘されています。芸術専門の高等教育機関がなかなか充実しておらず、演劇をやっても日本でプロとして活躍する場が極端に少ないため、あきらめてしまうという人も多いのではないでしょうか。留学制度や奨学金の充実などの具体的な対策が望まれます。
難しい舞台とのふれあい―指導者の養成も必要!
しかし、無理に子どもに舞台を勧めても、勧め方や指導のしかた次第では逆に嫌いになってしまう可能性もあります。「やりたくない役を無理矢理やらされた」「観たくないのに無理矢理観させられている」と感じてしまっては、元も子もありませんよね。また、大人になれば味わい深いという題材でも、小・中学生、高校生にはまだよさを理解できず、やはり嫌いになってしまうということも考えられます。子どものレベルに合った適切な題材選びも不可欠です。そのためには、指導者もそれなりの知識を身に付けることが必要ですね。日本演劇教育連盟など、演劇の指導者育成の場を提供している団体もあるので、こういった団体のワークショップ等も参考にしてみてください。
ちなみに、筆者個人的には、学校の文化祭や演劇部でやるなら演劇集団キャラメルボックスの『広くてすてきな宇宙じゃないか』がオススメです。時間が短めでちょうどよく、学校で演じられることの多い作品です。また、先日やっと劇団四季の『ライオンキング』を観にいくことができましたが、ちょうど夏休みの期間ということもあって、家族連れがずいぶん多かったようです。迫力があり、わかりやすい内容であるため、子どもでもじゅうぶん楽しみやすく、舞台鑑賞の入門としてはとてもよいと思いました。学校での教育だけでなく、お子さんに合わせて演目を選んで家族で舞台を観に行くのもよいですね。
「舞台はとっつきづらい」という印象はありますが、子ども時代というものは特別に感性が研ぎ澄まされているもの。舞台を観て、生の空気に感動したり、発見することがあると思います。
舞台が一般的になるにはまだ時間がかかりそうですが、子どものうちに鑑賞の機会を与えて、多くの子どもたちが演劇やミュージカルに興味をもつことを願います。
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