- きょういくじん会議
昨年もこのきょういくじん会議でお伝えした「ことばと学びをひらく会」。去る24日、第3回大会が開催されました。インフルエンザの流行で欠席者もいたようですが、それでも400人近い参加者で会場は熱気に満ちていました。本年度のテーマは「言語活動を通して学びを変える!〜基幹教科としての国語科の役割〜」。今年も、白熱した大会の様子をご紹介したいと思います。
大会は、基調講演、記念講演、ワークショップ&講座、シンポジウム、まとめの言葉、の5構成で執り行われました。今回は、その中からいくつかピックアップしてお届けします。
基調講演「今なぜ、言語活動の充実か」
木まさき会長の基調講演は、言語活動の充実がなぜこの時期に重視されるかについて。その背景にある社会状況・子どもたちの状況を踏まえながら、基幹教科としての国語科の大切さを改めて確認するものでした。
そもそも「言語活動」という活動自体は、まったく新しいものではありません。しかし、求められる学力が変わり、子どもが変われば、おのずと「言語活動」の在り方も変化せざるを得ません。これまで身につければよいとされていた従来型の基礎学力では、「知識基盤型社会」を生き抜いてはいけない。失敗したときに、その失敗を「たいしたことないさ」と思えるような語彙力を持っているかいないかでは、社会との対峙の仕方は大きく変わってくる、とのお話を通して、「語彙を充実させることは、人生を充実させることである」という教育の本義をみる基調講演でした。
記念講演「日本語は『乱れて』いるか〜テレビの現場から〜」
記念講演では、ジャーナリストの池上彰氏が、自身のテレビの現場から日本語の変化について話されました。「週刊子どもニュース」や「朝ズバッ!」での様子を交えながらの講演は、講演時間の70分があっという間に感じられるものでした。
なかでも興味深かったのは、「暗黙知」について。子どもと大人には「暗黙知」のギャップがあり、分かりやすさのためには、どこまで「暗黙知」について意識的・自覚的でいられるか、が大切であるとのことでした。それは、「相手に対する想像力を働かせること」とも言い換えられ、その想像力を働かせるためには、いきなり映像で示すのではなく、活字の前で立ち止まって考えることが必要であるとのお話は、テレビに携わる方からの言葉だけに一層感じ入るものがありました。
シンポジウム「国語科の言語活動はどうあるべきか」
ここでは3人の先生が、教科調査官・元高校教諭(現大学教授)・小学校校長というそれぞれのお立場から、言語活動の在り方について話されました。特に印象深かったのは、教師がどのような言語生活をしているか、どのような言語環境を子どもに与えてあげられるか、「歩く言語活動」として意識化していくべきであるとの言葉。すべての教科における言語活動への意識を、国語科を発として高めていく必要性を再確認するシンポジウムとなりました。
限られた紙面では、先生方の熱気や興奮をお伝えしきれないのが残念です。参加者の先生方が前のめりになって聞いていらっしゃる姿は、現場での先生方の頑張りを垣間見るようで、変動する日本社会のなかでいかにして子どもたちによりよい学びを提供するか、という気迫が感じられました。知り合いの先生が、「やっぱり校内研修だけではなくて外部に出るというのはいいよね、頭がリセットされるよね」と仰っていたのが非常に印象的でした。皆さんもぜひ、来年度は足を運んでみてはいかがでしょうか。
![](/common/img/banner/merumaga_w655h70.png)