きょういくじん会議
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読書の秋真盛り! ミステリー人気から読書熱を考える
kyoikujin
2009/11/2 掲載
このミステリーがすごい! 2009年版

 10月27日のきょういくじん会議でお知らせした通り、今月9日までは読書週間です。読書の秋、満喫していますか。中高生で読書が「好き」「どちらかと言えば好き」と回答した生徒が10ポイント以上増えて7割をこえたことはお伝えした通りですが、本日はその子どもたちの読書熱を支えているミステリーについてのお話です。

●現代ミステリー事情
 ミステリーといっても怪談やオカルトのことではなく、広義の推理小説のことを指します。さて、以前中学2年生の朝読書の現場にお邪魔したところ、生徒たちから圧倒的な人気を誇っていた作家が東野圭吾でした。次いで、伊坂幸太郎や石田衣良、ライトノベルも目立っていたように見受けられました。どっしり構えて吟味しながら読むような本ではなく、朝読書など短い時間で気軽に読めて、何より娯楽として面白い、そんな本が支持されているようです。時間ができた時にさっと手に取り、話の続きが気になってついつい中毒気味になっている。そんな生徒たちの読書形態に、携帯電話のメールに夢中になる青少年の姿が重なるような気がしました。

●ミステリー人口まだまだ増加中?
 若手ミステリー作家の作品が相次いで映像化して中高生などの若年層に間口を広げる一方、ミステリーの大家も負けていません。推理小説の始祖エドガー・アラン・ポーをもじったペンネームを持つ、江戸川乱歩といえば国内ミステリーの草分け的存在です。「二銭銅貨」「パノラマ島奇譚」などの作品が人気が高いようですが、それを凌ぐ勢いで人気を博したのが1964年から73年にかけてポプラ社から刊行された少年探偵シリーズというジュブナイルでしょう。その少年探偵団シリーズが、このたび装丁もそのままに同社から文庫化したことが話題になっています。1970年前半に小学生だった新本格ミステリー作家の有栖川有栖は、当時の教室での話題はもっぱら明智小五郎と怪盗ルパンとシャーロック・ホームズ、誰が一番の探偵かという議論だったとエッセイに記しています。少年探偵シリーズの復刊文庫化により、一層ミステリー読者人口が若年化して増えることが予想できますが、もしかしたら70年代当時の小学生たちの呼び戻しにもなるかもしれませんね。

 ところで、この読書の秋、まだ読みたい本が見つからないという方は、3日まで開催している「東京名物神田古本まつり」に足を運んでみてはいかがでしょう。毎年約50万人が集まり、今年は100万冊もの本が集まるそうです。本との出会いは一期一会。自分の好きなジャンルにこだわらず、たまたま見かけた本、たまたま人が口にしていた本も大切にしたいものですね。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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