きょういくじん会議
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農業ブームにノギャルも一役買う?
kyoikujin
2009/11/6 掲載
ギャル農業 (中公新書ラクレ)

 突然だが、みなさん「ノギャル」を知っているだろうか。「ギャルなら知っているが、ノギャルは…」という人も多いのではないだろうか。この「ノギャル」とは、農業+ギャルの略語。簡単に言えば、農業をするギャルのことだろう。では、ノギャルの実態とは何なのだろうか。

イケてる農業

 6月2日のMSN産経ニュースによると、渋谷に集まるギャルをはじめ、土に触れるチャンスを持ちたいという若者が増えているという。このような若者を集め、「農業体験ツアー」の企画や「イケてる農作業着」のプロデュースを行っているのが、実業家で元会社社長の藤田志穂さん。藤田さんは、元ギャルで、今まで「イケてる農業」以外にも「エコ啓発」や「エイズ予防」などの企画をプロデュースしてきたという。
 このプロジェクトに参加したノギャルたちは、受け入れ先として手を上げた秋田県の農家で田植えや稲刈りなどを体験したそうだ。ノギャルたちが収穫したお米はネット販売で手に入れることができるとのこと。みなさんも購入して食べてみてはいかがだろうか。

若者向け農業雑誌も誕生

Agrizm(アグリズム) 2009年 12月号

 「ノギャル」とは異なるが、ほかにも若者向けに農業を広めようとする動きがある。例えば、農業技術通信社が今年創刊した「Agrizm」という雑誌だ。この雑誌は、20歳から35歳の若者を読者に想定しているのが特徴で、「農業はカッコイイ」というような内容を伝えるものになっているという。
 記事では、農業に携わっている若者の姿を写真入りで紹介しているそうだ。自分と同世代で農業に携わっている人が、どのような思いでいるかを知ることは、都会にいる若者にとって貴重なものだろう。

農山漁村での体験は教育効果もある

 また、文部科学省が11月5日に発表した農山漁村での長期宿泊体験による教育効果の評価結果(PDF)によると、農山漁村での長期宿泊体験が子どもの人間関係・コミュニケーション能力等を育てるのに効果があることがわかったという。
 例えば、「児童が相手の言うことをよく聞き、相手の立場を考えるようになった」という設問に対して、77%が「非常によく感じる」、「よく感じる」と回答したという。特に、4泊5日以上など、日数が伸びるに従ってその割合は高くなっている。
 宿泊体験学習は、子どもたちにとって大きな影響を与えるといえそうだ。長期間一緒に過ごす中で、友達と仕事の役割を分担したり、本音をぶつけ合ったりし、成長することができる。また、農山漁村体験だからこそ、普段体験できない自然とのふれあいもあり、「食」への関心が高まったり、学校での動物の飼育に熱心に取り組んだりするようになる、ということもいえるようだ。

 農業の大変さは、一朝一夕ではわからないもの。風雨に左右されながらも作物を育て、それを毎年毎年同じように行い、暮らしていくのは並大抵のことではないだろう。とはいえ、土に触れたこともない、稲刈りや農作業の経験もまったくない、という若者や子どももいるはず。農業の大変さを知るという意味でも、経験することは悪いことではないだろう。
 学校全体で農山漁村体験のプログラムを取り入れたり、社会科の授業で農業を取り上げるときに、「ノギャル」の作った米を食べて子どもの興味関心を引く、そんな工夫もおもしろいかもしれない。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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