きょういくじん会議
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意外に繊細!? 砂時計の科学
kyoikujin
2009/12/4 掲載
SATO 砂時計 10分計 1734-10

 師走に入り、今年も残すところ1か月を切りました。坊主も走るというだけあって、どうしてもバタバタとしてしまいますよね。忙しなく時間を過ごしてしまうときだからこそ、ちょっと一息、本日は優雅に時を刻む「砂時計」についてのお話です。

世界一の砂時計

 さて、突然ですが、問題です! 世界で一番大きな砂時計は、どこの国にあるでしょうか?
 昼ドラの舞台にもなりましたので、ご存知の方も多いかもしれませんね。そう、世界一大きな砂時計は、日本にあります。島根県、仁摩サンドミュージアムにその砂時計は展示されています。
 私たちがよく目にする通常の砂時計が1〜3分計程度であるのに対し、世界一の砂時計が測る時間の単位はなんと1年! 「砂暦(すなごよみ)」と名付けられた1年計砂時計は、

高さ:5.2メートル
直径:1メートル
砂の量:1トン
砂の粒子数:6400億粒(推定値)

とまさに桁違い。でも、大きな見た目とは裏腹に、実はとっても繊細な作りになっているんです。

砂時計の科学

 というのも、砂時計は砂と空気がガラスの容器に入ったもの。空気は、外気の温度によって膨張したり、収縮したりします。ガラス容器の中に入った空気が、膨らんだり縮んだりしたら、砂にどんな影響が出るか、もうお分かりですよね。砂の落ちる速度や量はまちまちになってしまい、1年計としての役割を果たさなくなってしまうのです。そこで、気温に応じて内部の気圧を調整することはもちろん、一定の量の砂が落ちるようにくびれの部分はわずか直径0.84ミリという細さで作られています。

子どもだけではもったいない! 改めて知る砂の美しさ

 漫画や昼ドラ・映画などのメディアミックスで有名になったサンドミュージアムですが、ロマンチックなだけではなく、理科的視点からも十分楽しむことが可能です。上述した1年計以外にも、押すと「キュッキュッ」と音が鳴る「鳴り砂(なりすな)」体験や、仁摩近隣の海岸の砂を自分でファイリングし「砂の標本」を作れるコーナーなど、楽しみながら砂について学べるようになっています。また、複数設置された「砂のオブジェ」は、まるで砂が生きているかのような錯覚に陥るほど、美しく、幻想的です。大人も満足すること間違いなし!

一年の計は元旦にあり というわけで…

 さてさて、砂時計ですから、砂が落ちきってしまったら、ひっくり返す必要がありますよね。サンドミュージアムの1年計は、毎年、大晦日から元旦にかけて、大綱をつなぎ、それを引いて回転させます。大綱を引くことができるのは、108人の年男と年女だけ。この年末の引者の申し込み募集は、残念ながらすでに締め切ってしまっていますが、イベントへの参加は可能です。初詣もいいですが、去く1年を振り返りつつ、来る1年を描きつつ、世界一の砂時計を見上げてみるというのもいかがでしょうか?

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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