きょういくじん会議
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第2の人生を謳歌する廃校たち―廃校とアートの出会い
kyoikujin
2009/12/18 掲載
泊れる!遊べる!全国廃校ガイド83選

 少子化の影響で、全国的に増え続けている廃校。なんでもこの10年間で2000校以上の公立学校が廃校となっているそうです!「廃校」という響きにはなんともいえないさみしさがありますよね…。
 そんな廃校問題の未来を明るく照らす、様々な活用事例があることを、みなさんご存知でしょうか。今日はたくさんある事例のなかでも、芸術と結びついて元気に生まれ変わった廃校たちをご紹介します。

◎「にしすがも創造舎」

 「にしすがも創造舎(旧朝日中学校)」は2004年8月にオープンしました。運営を担っているのは、「アートネットワーク・ジャパン」と、以前きょういくじん会議でも取り上げた「芸術家と子どもたち」という2つのNPOです。
 「にしすがも創造舎」は教室をアーティストに貸し出す稽古場事業を中心としていますが、「にしすがもアート夏まつり」を開催したり、舞台芸術の祭典「フェスティバル/トーキョー」」の会場になったりと様々な顔をもちあわせているようです。
 「にしすがも創造舎」のいいところは、廃校をただの建物として占有するのではなく、地域交流の拠点としてとらえているところです。私がおもしろいなと思った事業の1つに「グリグリ・プロジェクト」というものがあります。グリグリとはGreeting Greensの略で、グリーン(植物)+アートをテーマに、にしすがも創造舎の校庭に畑を作ってしまおうという活動です。地域の人たちとアーティストが一緒になって「こんな畑あったらいいな」というのを次々に実現しているそう。地域交流が薄れゆく現代でご近所さんと畑を作るなんて、なかなかできないことですよね。学校はもともと人と人が出会う場所。そんな学校本来の役目も立派に引き継いでいる、幸せな廃校活用事例といえるでしょう。

◎「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」

 「大地の芸術祭」とは、新潟県越後妻有地域の里山を舞台に、3年に1度のペースで開催されている世界最大級の国際芸術祭です。2000年のスタートから、2003年、2006年と続き、この夏、第4回が開催されました。
 そんな「大地の芸術祭2009」で行われたのが「廃校プロジェクト」。過疎化と少子化のため越後妻有地域に約10校もある廃校を、美術館やギャラリー、宿泊施設として再生するというプロジェクトです。
 その場所でしか生まれ得ないサイトスペシフィックな作品を得意とする川俣正は、自身の活動記録や大地の芸術祭の情報を集めた「CIAN(インターローカル・アート・ネットワーク・センター)」を作りました。また、絵本作家の田島征三は、絵本や民話・農業をテーマにした「絵本と木の実の美術館」)として再生したそう。
 子どもたちがいなくなってしまった廃校に37万人が集まるというのはなんとも不思議な話です。次の芸術祭はおそらく3年後となりますが、「CIAN」や「絵本と木の実の美術館」はこれからも運営されるそうなので、生まれ変わった廃校を見てみたいという方はぜひとも足を運んでみてください。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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