きょういくじん会議
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子どもを運動好きにするスポーツ教育の取り組み(英国)
kyoikujin
2010/1/12 掲載
新しい体育授業の創造―スポーツ教育の実践モデル

 7日のScience Dailyに発表された米国での調査によると、子ども時代に運動(特に学校の体育の授業)で経験した屈辱感や恥をかいた思い出は、生涯にわたって運動への意欲に影響する傾向にあることが明らかになったそうです。今回は、子ども時代から有意義な運動経験をさせるために英国で推進されている「スポーツ教育」についてご紹介します。

 先月文科省主催で開催された、2日間にわたる青少年スポーツ活動国際シンポジウムでは、「青少年の豊かなスポーツライフの実現をめざして―学校体育・運動部活動・地域スポーツクラブの連携―」と題して、青少年世代のスポーツの振興をテーマに、諸外国の事例の発表や論議が行われました。

 その中に、子ども時代に運動に対する自分のかかわり方を、ポジティブで有意義な経験を積み重ねながら子どもたち自身が見いだしていく力を育成する、「スポーツ教育(Sport Education)」の取り組みについて、紹介がありました。

 スポーツ教育は、米国オハイオ州立大学の教授発案の、10〜19歳を対象としたプログラム段階のひとつで、運動に参加するための基本的な技能を身につけること、運動のルールを理解し運動を公平に進めるために善悪の判断をすること、運動に意欲的に取り組む姿勢を育むことを目的としています。

 このプログラムをもとに英国で実践されているスポーツ教育の大きな特徴のひとつは、子どもたちがプログラムを通して決められたグループで活動し、実際に運動し基本的な技能を身につけることに加え、どのような練習メニューを組み立てるかを自分たちで考える、ゲームでは「出場選手」のほかに「審判」「タイムキーパー」「記録係」などの役割を子どもたち自身で担うなど、子ども主体で進んでいくことです。

 時には意見の食い違いや言い争いなども起こるかもしれませんが、その問題解決の過程をみんなで乗り越えていくことは、大きく子どもたちを成長させる機会になり得るのではないでしょうか。

 約15時間単位のプログラムの終わりには、グループや選手、審判など役割ごとに表彰が行われ、それぞれのよいところを称えます。このような楽しく充実した実際の運動経験や運動にかかわる経験をたくさん積み重ねることで、「運動嫌い」の意識が大人になっても残ってしまうことがなく、「体育は楽しかった」という思い出を生涯にわたってもち続けてもらえる体育授業をつくることができたら…と感じました。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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