きょういくじん会議
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優秀な人材確保を―教員志願者増に向けた試み
kyoikujin
2010/2/9 掲載
教職教養これだけはやっとこう 2011年度版 (教員採用試験シリーズ)

 4日の毎日新聞の記事では、東京都教育委員会が秋田県教育委員会と連携して小学校教員の採用試験を行い、秋田県で不合格となっても、成績次第で都の試験に進める仕組みを導入すると発表した、とありました。これは全国でも初の試みということで、都市部では教員採用の競争率が特に下がっていることが背景にはあるようです。

 都道府県と政令市の教育委員会が2008年度に行った教員採用試験で、全国平均の競争率は6.1倍とピークだった2000年に比べ、半分以下に下がったことも報道されています。特に、大阪市が3.4倍、東京都・横浜市が4.3倍など大都市では平均を大きく下回る競争率になっているようです。

 団塊世代の退職で、採用総数は増えているのに、受験者数は落ち込むこの現象。先生と言えば、安定した職業ですので、この不景気で何故?という疑問を持つ方も少なくないと思いますが、校務や生活指導で多忙なことに加え、保護者への対応の難しさや生徒の暴力、教員間でのいじめ等報道やメディアで伝えられることも多く、マイナスのイメージが定着してしまっていることも一因かもしれません。

 そんな中、東京都は、都内での志望者数アップのためにバスツアーを実施しているというニュースも12月18日の読売新聞に載っていました。バスツアーでは、都内の公立学校での授業参観、現職教師との懇談などの企画が設けられています。東京の学校は怖いというイメージを払拭する狙いもこの企画には込められているようで、応募書類には「東京に対して、どんなイメージをおもちですか? 」というアンケートも載っていました。12月に行われたバスツアーでは、募集人数を上回るほどの応募が各地からあったということですが、イメージアップにつながったのか、また、実際に志望者数が増えるのか、気になるところです。

 今、学校の荒れや保護者との関係のこじれなど、マイナス面で取り上げられることの多い教職ですが、未来の社会をつくる子どもたちに大きな影響を与える大切な職業であることは間違いないと思います。教職につきたいと思える人がもっと増えるよう、子どもたちの教育を学校まかせにせず、地域全体で未来の子どもたちを育てていく等、自治体だけではなく、私たちにもできることがあるような気がしました。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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