- きょういくじん会議

東京都国立市において、低出生体重児の6歳の児童が1年間の就学猶予を受けることが、3日のNHKのニュースで報道されました。低出生体重児とは、早産で生まれたために出生時の体重が2500gを下回る、いわゆる未熟児とよばれる児童のことです。この低出生体重児が増えているようです。
増加の原因は
低出生体重児がどのくらいの割合で誕生しているかというと、1990年には全出生に対する低出生体重児が6.3%であったところ、2004年には9.4%に増加し、現在もなお増加傾向にあるといわれています。低出生児が増えた背景には、痩せすぎている妊婦の増加があります。標準的体重、あるいは痩せ気味な女性までもダイエットに励むという日本女性の神経質さは、海外と比較されてよく批判の声があがりますが、あまり深刻に受け止められていないのが現状でしょう。
就学の実態は
さて、冒頭でお伝えしたニュースを機に、低出生体重児の就学の実態を少し調べてみました。1年間に生まれる低出生体重児は約10万人いますが、就学猶予を受ける児童の総数は約1500人です。この1500人は1年から6年までの児童を含んでいるうえ、低出生体重児以外のさまざまな事由を含んでいますので実態が掴みきれませんが、就学猶予を受ける児童が少ないということはよく分かります。これは、通学に差しさわる程度の発達障害を抱える児童がそもそも少ないことを示しているのか、それとも就学猶予という制度がごく限られたケースにしか適用されないことを示しているのか、明確には分かりません。ただ、低出生体重時が増えたのに伴い、就学猶予を希望する声も同様に増えているといわれていますので、制度が現状に合致していないとも考えられます。
就学猶予のメリットとは
就学猶予を受けるメリットは、猶予期間を経て児童の発達段階がより進んだ状態で就学できるということにあります。学級生活と教科学習、これらの負担に耐えられるようになるまで待ったほうが医学的にも良いといわれています。また、6歳の段階では特別支援学級を選ばざるを得ない状況でも、1年後には普通学級という選択肢が増えることもあるでしょう。日本は欧米と異なり年齢主義が定着しているので、周りの児童の年齢と異なることに違和感を覚えるという意見もあると思います。しかし、ポジティブな選択肢として就学猶予をとらえてみてはどうでしょうか。教育相談の際は、各自治体の教育委員会が相談に応じてくれます。
