きょういくじん会議
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学校でうんちは恥ずかしい? トイレ完全個室化の学校も
kyoikujin
2010/3/25 掲載
総合学習トイレから考えよう 気持ちよくトイレに行こう―心と健康

 16日の朝日新聞の記事によれば、今春開校する私立西南学院小(福岡)が男子トイレを完全個室化したという。「学校でうんちをするとからかわれる」と思い、我慢をしてしまう子どもたちに配慮したもので、全国ではすでに同様の試みをしている小中学校も数校ある。子どもたちが一日の大半を過ごす学校でのトイレ事情について考えてみたい。

 TOTOが全国の小学生1000人を対象に行った「小学生トイレアンケート」(2002年実施)によれば、約4割の367人が「学校でうんちしない派」であることがわかった。その内120人は「絶対にしない」と回答している。理由を見てみると、女子に比べて男子で多い回答に「とびらのあるトイレに入ると、友達にからかわれるから」というものがあり、個室に入ることに抵抗のある男子が多い様子がうかがえる。
 男性の方なら、からかわれるのが嫌で大便を我慢した経験を持つ方も多いと思うが、そのような我慢によって授業に集中できないだけでなく、便秘につながることもあるという。冒頭で紹介した小学校のように、男子トイレも個室のみにしてしまえば「個室=大便」ということにはならないため、子どもたちの精神的負担は少なくなる。
 学校のトイレ研究会が全国自治体に対して行った「学校トイレアンケート調査」(2009年実施)によれば、男子トイレの完全個室化について検討したことのある自治体は7%、個室化を必要だと思う自治体は23%という結果となった。

「うんちははずかしいもの」じゃない! 日本トイレ研究所の試み

 子どもの抱く排泄への抵抗感に配慮する学校がある一方で、「うんちははずかしいもの」という、抵抗感の根本にあるイメージから改善しようとする試みもある。日本トイレ研究所と王子ネピアは、総合学習プログラムとして「うんち教室」という出張授業を実施し、「うんちが体にとっていかに大切か」というメッセージを子どもたちに向けて発信している。
 内容は、紙しばいや「うんち鉛筆づくり」を通して、楽しみながら排泄の重要さを学んでいくもの。一週間の便の状態を書き込む「うんち日記」という家庭教材では、食事や生活リズムと排泄の関係を理解することもできる。
 他にも同研究所は「うんちっち!のうた」というCDを発売するなど、子どもたちの「うんちはきたない! はずかしい!」というイメージを払拭する活動を積極的に行っている。

 このように、子どもたちの「うんち問題」に対して、様々なアプローチで真剣に取り組む学校や企業が存在していることからも、この問題の重大さがうかがえる。排泄は生活の中で必須の行為であり、子どもたちの健康に関わる問題でもある。全国の子どもたちが安心で健やかな「うんちライフ」を送れるような学校空間のあり方について考えてみる必要があるのかもしれない。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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