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教科書1.4倍! 現場はどう対応する? 先生たちの時間術
kyoikujin
2010/4/7 掲載
教師のための時間術

 ここのところ、どこの書店に行っても一定のスペースを設けられているのが、「時間術」や「時間の使い方」に関する書籍。毎年年末には、手帳の使い方を特集した雑誌が数多く見受けられますが、他人の手帳が気になるのは、時間を上手に使えていない、という思いが多くの人にあるからでしょう。それは、先生方にとっても同じようです。昨年末発売された『教師のための時間術』(長瀬拓也・黎明書房)では、仕事に追われる先生方、特に新任〜若手教師に向けた、時間術かつ仕事術を紹介しています。

多忙を極める先生たち―先生たちのワークライフバランス

 執筆のきっかけとして紹介されているのが、先日公務災害認定がされた、2006年6月に自ら命を絶たれた東京都の新任教諭の方の一件です。新任ということに加え、各学年1学級のため見本にできる授業がなかったこと、前年度末の異動者が多く学校全体としてゆとりがなかったこと、深夜まで携帯電話にかかってくる保護者からの要望があったことなど…報道でもその激務は伝えられました。

 このように、授業の準備だけでなく、生徒指導や保護者対応、校務分掌なども、現実問題として先生たちは多くの時間を割いています。やるべきことは多いのに、個人情報は持ち出せない。結果、残業が多くなり、持ち帰れるものだけ家でやる…。しかし、先生たちにとっても、ワークライフバランスは大切です。先生が疲れていたら、結局子どものためにもなりません。また、そうした状況を見聞きし、教師を志す若者が減少するのではということも懸念事項のひとつです。

増えた教科書、先生たちの不安

 先日、新学習指導要領に基づいた新しい教科書が披露されました。脱ゆとりの新しい教科書は、3月31日の読売新聞の記事によれば、小学校では、2000年度のものと比べると、全教科平均で43パーセントもページが増えたとのこと。したがって、3月30日の毎日新聞の記事では、どのように教えたらいいのか、不安に思う若手の先生も多いと伝えています。前述した『教師のための時間術』の中で繰り返し述べられているのは、「がんばらない」こと。それは努力をしないということではなく、「自分ひとりで抱え込まない」ということです。亡くなった教諭の父親は、「信頼し合える同僚との関係があれば、こんな悲劇は起きなかった。若い先生を支えるシステムをつくってほしい」と訴えたそうです。個々人で関係を築くことはもちろん、システムの上で先生方を支える必要性が急務といえます。

教育書コーナーの賑わい―頑張らないで、頑張って!

 先日の土曜日、近くの大型書店の教育書コーナーは、おそらく先生と思われる方々で通り抜けるのもやっとというほど、賑わっていました。今週、新学期が始まるところも多いと思います。スタートダッシュももちろん大事、でも、息切れをしないように頑張ることも大切です。余談ですが、3日の読売新聞の記事によると、文部科学省が45年ぶりに「生徒指導書」を作成したことのこと。さて、多忙な先生たちにとって、役立つ資料となるでしょうか。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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