きょういくじん会議
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植物だけでなく人の心も育てる「花育」
kyoikujin
2010/4/9 掲載
“花育”で子どもの感性を豊かにする ママ&子どものフラワーアレンジメント

 4月に入り、色とりどりの植物を楽しめる季節になりました。春には、花はもちろんのこと、新緑の美しさも味わえますね。

 さて、みなさんは「花育」をご存知でしょうか。全国花育活動推進協議会のホームページによると、次のように定義されています。

花や緑に親しみ・育てる機会を通して、やさしさや美しさを感じる気持ちを育むこと。

花育が注目されている?
 花育を推進する背景には、都市部を中心に花や緑に触れる機会が減っていることが挙げられています。
 そんな中、平成24年4月1日に全面実施となる中学校学習指導要領で、技術科において「生物育成に関する技術」が必修扱いになります。現行の指導要領では「作物の栽培」が選択の扱いでした。新しい指導要領では生物を育てることを必修とし、それを通して教育的な効果を見込む動きがあると分かります。
 また、幼稚園や小学校などの教育現場では、既に実践されている取り組みもあります。小学校では生活科や総合的な学習の時間などで導入しているそうです。農林水産省のホームページには、全国花育活動事例集があり、数多くの事例が載っています。

花育の効果
 全国花育活動推進協議会によると、次の5つが教育上の効果として挙げられています。

1 感謝する気持ちを育む
2 やさしい気持ちを育む
3 探求心や創造力を育む
4 人とのつながりを作り、広げる
5 波及効果への期待

 一見、4や5は植物とあまり結びつかない効果のように感じます。しかし、事例を見てみると実践の仕方によっては、教員以外の様々な大人と触れ合う機会が増えることも分かります。例えば、花の生産者が育て方をアドバイスをする、地域の高齢者が伝統的な花遊びを教える、地域の住民が花苗を学校に提供するなどです。花育には育てる喜びを味わうだけでなく、周囲の人たちとの関わりが増える楽しみもあるそうです。
 また、人との関わりや情操教育に限らず、環境に関心を持つきかっけにもできます。植物をより良く育てようと試行する過程で、化学肥料等を使うことも多いかと思います。しかし、それらが環境に及ぼす影響について、児童や生徒たちが理解できるように導くことも重要です。

花育の注意点
 情操教育などに役立つ花育ですが、実践するには注意点もあります。ただ植物を育てればよいということではないのです。
 2009年5月〜7月にかけて、花育を実践している小学校教諭らを対象に全国花育活動推進協議会が行った「花育活動に関するアンケート調査・結果」があります。その中では「花育を行う上で、困った点や課題点はありましたか」という問いがありました。最も多かった回答は「花壇の管理等の手間」であり、次いで「資料等の準備や後片付けの手間」「授業をサポートする人材」という声が集まりました。様々な教育的効果が期待できる花育ですが、指導側の負担も大きいようです。実践の経験がある学校は、どのように課題を解決しているのでしょうか。

花育の輪を広げよう!
 実践例の中には、地域の住民や花の専門家などを巻き込んだ例もあります。
 例えば、先に挙げた「全国花育活動事例集」の中に、富岡市立南中学校の例があります。プランターで栽培した花を公共施設などに設置して、地域の環境美化に貢献するというプロジェクトのようです。これは富岡実業高校園芸科学科と連携して、より良い花栽培をおこなう試みでした。このように、周辺の高校や大学と連携することも良いかもしれません。
 花を通して、人々の関わりが増えることは、良い波及効果だと思います。事例集も参考にしつつ、それぞれの現場に合う方法を探って、実践してみてはいかがでしょうか。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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