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算数・数学の中1ギャップを克服するカギ「学び直し」の工夫
kyoikujin
2010/4/14 掲載

 新しい教科書の大幅な分量増が話題となる中、いよいよ新年度がスタートした。
 移行措置により、すでに新学習指導要領に基づく指導が先行実施されている中学校数学科では、学習内容の増加への対応だけでなく、算数から数学への様々な変化に対する不適応によって引き起こされる、いわゆる「中1ギャップ」への対応も大きな課題になっている。

算数→数学で目立つ学習意欲の低下

 平成17年に、文部科学省の委嘱によりベネッセコーポレーションが実施した「義務教育に関する意識調査」の中間報告書によると、“算数・数学の時間がどれくらい好きか”という質問に対して、小学校6年生では55.0%が肯定的(とても好き/まあ好き)に回答しているのに対して、中学校1年生では28.5%と、算数から数学への変化によって学習意欲を低下させている生徒が非常に多いことが明らかになっている。
 ちなみに、同じ質問に対する他の主要教科の反応は、
・国語…小6/46.0%→中1/39.9%
・社会…小6/51.8%→中1/53.2%
・理科…小6/52.9%→中1/54.5%
であり、他教科と比べても学習意欲の低下が著しいことがわかる。

求められる「学び直し」の工夫

 このような状況を踏まえて、今次の学習指導要領の改訂において、算数・数学科では、一部の内容について学校段階間をまたいだ重層的な教育課程が編成され、新たな内容を学習する際に、一度学習した内容を再度学習する「学び直し」の重要性も指摘されている。
 学習内容の系統性がはっきりしている算数・数学科では、従来から関連の既習内容を単元の冒頭で復習するような指導は重視されてきた。そういった意味で今後は、知識や理解にかかわる課題だけでなく、上記のような学習意欲にかかわる課題にも目を向ける必要がある。
 例えば、一次方程式の導入でよく行われる「数当てゲーム」において、算数的な逆思考で答えられる問題から始め、方程式を用いなければ答えることが難しい問題へと段階的に導入するなど、算数で学習した内容と関連付けながら、新たな内容を学習することの必然性や意味を生徒にも理解できるようなかたちで提示する「学び直し」の工夫が求められることになりそうだ。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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