- きょういくじん会議
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4月30日の記事では、小学生以下の子どもたちの「なりたい職業ランキング」についてお知らせしましたが、高校生のランキングはグッと現実的になります。合計13,797人の小中高生を対象とした「第2回子ども生活実態基本調査」(Benesse教育研究開発センター 2009年)によると、高校生男子がなりたい職業の1位にあげたのは「学校の先生」でした。
同調査によると、高校生男子のなりたい職業は、1位「学校の先生」、2位「公務員」、3位「研究者・大学職員」、女子は、1位「保育士・幼稚園の先生」、2位「学校の先生」、3位「看護士」となっています。男子も女子も資格の必要な安定した職業を目指す傾向にあるといえそうです。
順位 | 男子(割合) | 女子(割合) | |
---|---|---|---|
1位 | 学校の先生(4.7) | 保育士・幼稚園の先生(5.3) | |
2位 | 公務員(3.6) | 学校の先生(5.1) | |
3位 | 研究者・大学教員(2.7) | 看護士(4.8) | |
4位 | 医師(2.3) | 薬剤師(2.9) | |
5位 | コンピュータープログラマー・システムエンジニア(1.7) | 理学療法士・臨床検査技師・歯科衛生士(2.4) |
経済不況や就職の困難さが頻繁に報道されているため、高校生たちも安定志向になっているのでしょうか。子どもたちにとって最も身近な有資格者である「学校の先生」は、実はかなりの人気職となっています。
5年前に行われた「第1回子ども生活実態基本調査」(Benesse教育研究開発センター 2004年)では、男女ともに「学校の先生」が1位でした。株式会社日本ドリコムが、数百人の高校2年生を対象に2006年から調査している「ドリームランキング〜高校生の希望する職業ランキング」でも、不動の1位となり続けています。
また、2008年のきょういくじんでは、教職系の学部を志望する高校生が減っているとお伝えしましたが、現在はどうなっているのでしょうか? 文科省が発表した「平成22年度国公立大学入学者選抜学部系統別志願状況」によれば、本年度の教職系学部の志望者は55,845人で、倍率は4.6倍となっています。倍率を比較すると、平成19年度から平成21年度までは下がり続けていましたが、本年度は久々の上昇となっています。
年度 | 教職系学部の志望者数(倍率) | 総志望者数 |
---|---|---|
18年度 | 52,507(4.9倍) | 505,370 |
19年度 | 46,814(4.4倍) | 488,527 |
20年度 | 53,817(4.4倍) | 487,777 |
21年度 | 51,363(4.2倍) | 475,020 |
22年度 | 55,845(4.6倍) | 489,280 |
日本私立学校振興・共済事業団が、私立大学の受験者状況をまとめた「平成21年度私立大学・短期大学等入学志願動向」(PDF)でも、教職系学部の志望者は、平成20年度の56,966人から平成21年度の66,209人へと増加。総受験者数における割合も1.8%から2.1%へとアップしています。
リーマンショック以降の就職率低下に関する報道などが、高校生の学部選択に影響を与えているのかもしれません。
都市圏における教員採用試験の倍率の低さが話題になっているなか、景気の影響とはいえ、学校の先生を目指す高校生が増えているというのは嬉しいニュースと言えそうです。彼らの熱意が数年後の教員採用試験まで保たれるよう、今後の教育行政のあり方に期待したいです。
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