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「怪獣は悪者か?」について考える―「ウルトラマン80」放送から30年
kyoikujin
2010/5/13 掲載
ウルトラマン80 DVD30周年メモリアルBOX I 熱血!矢的先生編

 1966年に放送が始まって以来、今もなお愛され続ける円谷プロダクション製作のウルトラマンシリーズ。幼かりし日々に「シュワッチ!」と手を交差して、ヒーローの真似をした方も多いのではないでしょうか。そのシリーズ9作目にあたる「ウルトラマン80」が放送されて、今年で30年を迎えます。これを記念して、CSチャンネルのファミリー劇場では5月から再放送が始まっており、6月と9月にはDVD30周年メモリアルBOXが発売されるそうです。

「怪獣=悪しき者」なのか?

 「ウルトラマン80」は、主人公が中学校の先生、さらには「人間の心の病」が怪獣出現の源という異色の設定でスタートし、話題を呼びました。劇中に含まれる生徒の不登校や初恋といった学園ドラマ的要素に着目して見たり、生徒たちがベランダに出てウルトラマンを応援するという、ウルトラマン80ならではのちょっと変わった光景に注目して見たりするのも面白いかもしれません。さらには、俳優の長谷川初範氏の出世作とのことで、その初々しい演技も見どころです。

 異色の設定といえば、平成のウルトラマンシリーズの中には、「怪獣=悪しき者」という、定番の構図が破られる設定のストーリーも誕生しています。

ウルトラマンコスモス ― オリジナル・サウンドトラック vol.3

 2001(平成13)年から放送されたシリーズ「ウルトラマンコスモス」のテーマは「怪獣保護」。「いかなる怪獣や異星人が現れても、その全てを絶対悪と決め付けず、互いに有効なコンタクトをはかり保護を第一に優先すること」という信念が、シリーズの根底を流れています。そこで、ウルトラマンコスモスの必殺技にも、怪獣の興奮を抑制する光線、怪獣にエネルギーを与える光線など、それまでにないタイプのものが飛び出します。
 また、ゲームと連動して2007(平成19)年から放送された「ウルトラギャラクシー大怪獣バトル」では、「レイオニクス」と呼ばれる怪獣を操る能力をもつ者が登場、「バトルナイザー」と呼ばれるアイテムから怪獣を召喚して、凶悪な怪獣を倒すという設定が用いられています。歴代のウルトラマンシリーズで人間に害を及ぼし、ウルトラマンと戦っていた怪獣。その怪獣たちが人間の味方となって戦う姿には、なんだか不思議な感覚を覚えます。
 このような斬新な設定のウルトラマンシリーズを見ていると、「『怪獣=悪者』と言い切れないのではないか」「むしろ自分たち本意で怪獣を倒していた人間が『悪』なのか」「そもそも正義とは一体何なのか」などと、いろいろ考えさせられてしまいます。

ウルトラマンのススメ

 とはいえ、ウルトラマンシリーズには、昔も今も変わらずに、脈々と流れているものもあります。「困難に立ち向かう勇気」「仲間を大切に思う気持ち」といった熱い思い、そして、ウルトラマンの絶対的な強さ―。大人なって改めて見るウルトラマンシリーズは、懐かしさとともに、忘れていた何かを思い出させてくれることでしょう。
 44年の歴史をもつウルトラマンシリーズは、懐かしい思いを抱く親世代と、ヒーローへの憧れをもつ子供世代で、一緒に楽しむことができることと思います。ウルトラマンの強さを堪能するとともに、「正義とは何か」「人として大切な気持ちとは」などについて、親子で語り合ってみてはいかがでしょうか。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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