きょういくじん会議
まじめなニュースからやわらかネタまで、教育のことならなんでも取り上げる読者参加型サイト
保護者の投書から考える「小1プロブレム」
kyoikujin
2010/5/20 掲載
今すぐできる幼・保・小連携ハンドブック―「小1ギャップ」の克服を地域で支える

 東京都教育委員会は、「就学前教育プログラム」を作成し、都内の教育機関に配布した、と発表しました。昨年の調査で、公立小学校のうち、およそ4校に1校で「小1プロブレム」が発生していることが明らかになった東京都をはじめ、各方面からその対策が打ち出されています。新学期が始まって、はや1か月半。みなさんの周りの新1年生は、楽しい小学校生活を送っていますか。

 11日の読売新聞に、ある投書が載っていました。投稿したのは、神奈川県の主婦で、「娘が通う小学校では、入学後1か月は仮のクラスで過ごし、5月に学級編制をする。これまでは、4月に学級編制をしないと先生はクラスがまとめられないと思っていたが、この1か月、実際に新入生の給食の世話などに参加してみて、そうした取り組みがあってもいいと思うようになった。」とのこと。

 この学校のように、入学後1か月を入門期ととらえて、保護者や地域の協力を得ながら、「小1プロブレム」対策として独自の取り組みを実施している学校があるようです。6日の朝日新聞の記事によると、仙台市は「スタートカリキュラム」を導入して、さらに地域の人々が授業を補助する制度を始めています。この期間は、体験型の授業なので、新1年生はスムーズに小学校生活に移行する時間になりますし、保護者や地域の人々とっては、学校の実情を知るよい機会になると思います。ときに、私たちは、「小1プロブレム」の原因を子どもやその保護者、あるいは学校に求め、批判的にとらえてしまうことがあります。しかしながら、地域住民として学校の実情を知る機会があれば、問題と直面する子どもや学校を後押しする存在になることができるかもしれません。

 今や全国的な問題となっている「小1プロブレム」。その対応は急務とされ、多くの対策が打ち出されいます。しかしながら、対策を実行しても、すぐには効果が現れにくいもの。だからこそ、先の投書に見られるような保護者や地域の理解が重要なのではないでしょうか。従来の価値観にとらわれることなく、地域住民として、学校の実情とその対策の必要性を理解できる機会が各地でもっと増えれば、と思います。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの受付は終了しました。