- きょういくじん会議
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今月2日、米国でも最も盛大な毎年恒例イベントの1つ、全国スペリング・コンテスト(Scripps National Spelling Bee)が今年も開催されました。中学生までが参加対象とされ、今年は世界各国から273名が全国大会への参加権を得、3日間に及ぶ一次予選、二次予選、準決勝、決勝へと挑戦しました。
全国大会、Scripps National Spelling Bee
Spelling Beeと呼ばれるスペリング・コンテストは、読み上げられる英単語のスペルを答えていくもの(例えば「sushi」と読み上げられた場合、「s、u、s、h、i」のように答えます)。挑戦者は、与えられた単語の意味やその単語を使った例文などをヒントとしてきくことができます。一人ひとり順番に異なるお題が与えられ、答えられなかったりスペルを1文字でも間違えたりすると、その場でどんどん振り落とされていってしまう、とても緊迫感のある競技会です。
Scripps National Spelling Beeは、米国人に限らず世界中の中学生までが参加できるスペリング・コンテストの全国大会で、毎年ESPNやABCといった大手のテレビ局で生放送され、高い視聴率を記録しています。
大会のホームページには、ダウンロード可能な1950年の大会から出題されてきたすべての単語のリストや、出題元となるMerriam-Webster社が選出した基礎編とチャレンジ編の約1150単語を勉強できるサイト「Spell It!」も掲載。最近では、出場者のレベル向上に伴って出題される単語の難易度も少しずつ上がる傾向にあり、5日のThe Washington PostのScripps社副社長の話によると、パソコンに打ち込んでもスペルチェックにひっかかり、赤い下線が表示されてしまうような単語もよく出題されるようになっているとか。
今年この全国大会で注目されていたのは、昨年準優勝のTim Ruiterくん13歳。この秋から高校に進学するため今回が最後のチャンスとなるTimくんは、昨年のリベンジを賭けての挑戦とあり視聴者の期待も高かったのですが、準決勝の「fustanella」(バルカン半島に住む男性が着用するキルトに似た伝統衣装という意味)のスペルを間違え、残念ながら敗退となりました。
決勝で「juvia」(ブラジル・ナッツの意味)のスペルを答え、見事優勝を果たしたのは14歳のAnamika Veeramaniさん。トロフィーなどの賞品と賞金4万ドル(約400万円)を授与されました。5日のUSA TODAYによると、それでもやはり中学生らしく、両親からは、もし優勝したら携帯電話と、何でもほしいものを買ってもらえると約束していたそうです。
Spelling Beeは学校などでも人気のイベント
Spelling Beeは、学校や地区、州などの単位での大会も数多く開かれ、小・中学校では、クラス内や各学年数人ずつの代表者が競い合うクラス対抗戦形式でなど、多くの学校で人気の行事となっています。
近年では、50歳以上の参加者で行われるシニア大会なども開かれ、Spelling Beeに臨む子どもたちや周りの人々の想い、そして競技の舞台裏で繰り広げられる熱いドラマは、『ドリームズ・カム・トゥルー』(原作タイトルは“Akeelah and the Bee”)などの映画や数々のテレビドラマでも取り上げられています。
米国の文化も垣間見ることができるSpelling Bee。この機会に、熱く緊迫感のある競技にかくされた想いやドラマをご覧になってみてはいかがでしょうか。
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