きょういくじん会議
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すべての人にサービスを―図書館バリアフリーの取り組み
kyoikujin
2010/7/2 掲載
図書館サービス論 (JLA図書館情報学テキストシリーズ2)

 近頃、各地の図書館で高齢者や障害者の方にも利用しやすくするための取り組みが行われています。
 図書館は、基本的人権のひとつである「知る権利」を保障するためのもの。「図書館の自由に関する宣言」にも、「すべての国民は、図書館利用に公平な権利」をもっているとあります。すべての人が気持ちよく利用できるための図書館の取り組みを、いくつかご紹介いたします。

本に限らない朗読サービス

 北海道の恵庭市立図書館では、14日から活字が見えにくい障害者や高齢者への朗読サービスを始めます。この朗読サービスには、市の朗読赤十字奉仕団が協力するとのこと。利用者はメモ代わりにポータブルレコーダーでの録音もできます。
 読むものはサービスを受ける側が用意することになっているのですが、事前のアンケートでは本、雑誌、新聞はもちろん、説明書、チラシまでのニーズがあるそう。「資料の保存・提供」以上の役割を期待されているようです。

外国人児童にも利用をうながす

 南アルプス市国際交流協会と南アルプス市立甲西図書館は、外国人の子どもを対象に絵本の読み聞かせや手遊び、工作に外国語を取り入れたイベントなどを協同で企画。図書館スタッフがわらべ歌や手遊びを紹介したり、市内の外国人を含む子どもを対象として中国語や英語、スペイン語を交えながらゲームを楽しんだり、工作をしたりしています。イベント会場では図書館が所蔵する外国語絵本などの紹介もされています。
 甲西図書館は、もともと児童書に力を入れている図書館。子ども向けの本や、親子のふれあいに関する本などを多く所蔵し、子ども向けのおはなし会なども多く企画しています。

大活字本の活躍

 公立図書館ではないのですが、NPO法人「大活字文化普及協会」は、今年1月に東京都千代田区で「誰でも図書館」をオープン。『鬼平犯科帳』などの人気小説の大活字本を所蔵しています。「年をとり、目が疲れやすくなった」という高齢者の利用が多いそうです。「大活字文化普及協会」のホームページでは、なんと各政党の白黒反転したマニフェストを掲載。地が黒で文字が白だととても読みやすいのです。
 また、大活字本の発行を手がけている埼玉県新座市の社会福祉法人「埼玉福祉会」では、今年発行した本が1000タイトルを超えました。売り上げの95%は図書館が占めているそう。個人でも購入できますが、やはり大きな文字にすることでページ数が増え、値段も高めなので、図書館での利用が多くなるようです。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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