きょういくじん会議
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学校が世界遺産に? 日田市など4自治体が連携へ
kyoikujin
2010/7/14 掲載
広瀬淡窓と咸宜園―ことごとく皆宜し

 6日の毎日新聞の記事によると、江戸時代に建てられた私塾「咸宜園」がある大分県日田市や、水戸藩の藩校「弘道館」のある茨城県水戸市など計4つの自治体が協力して、各自治体の古い有名な学校跡を教育遺産と謳い、世界遺産への登録を目指すとのこと。

世界遺産の種類

 世界遺産には建物や遺跡といった文化遺産と、地形や生態系、景観といった自然遺産、そしてそのふたつともの性質を持つ複合遺産があります。今回の教育遺産はもちろん文化遺産に該当しますが、はたして学校が世界遺産に認められるのか、という疑問も出てきそうです。

世界遺産の条件

 ユネスコによると、文化遺産の定義は

顕著な普遍的価値を有する記念物、建造物群、遺跡、文化的景観など

とあります。これらの要件を満たしていることを認められれば、晴れて世界遺産の仲間入りです。世界を見渡せば、スペインのアルカラ・デ・エナレスやアメリカのバージニア大学など、学校が世界遺産として登録されているという例はあります。ただし、アルカラ・デ・エナレスは大学単体というよりは、周辺の街も含んだ大学都市としての歴史の長さが認められての登録です。また、バージニア大学は元アメリカ大統領であるトーマス・ジェファーソンの邸宅であり、デザインの美しさで知られる「モンティチェロ」とあわせての登録となっています(バージニア大学はジェファーソンが設立したという繋がりがある)。

世界遺産登録への道のり

 世界遺産として認定されるにはまず前段階として、日本国内で文化庁の「国内候補暫定リスト」に選出される必要があります。暫定リストに載ることも簡単ではなく、やはり世界遺産登録への道は容易ではありません。アルカラ・デ・エナレスもバージニア大学も、そこにしかない価値を認められて登録されています。今後、教育資産として日本の学校にしかない独自の魅力をどれだけアピールできるかが、重要となっていきそうです。初めに挙げた毎日新聞の記事の中での、水戸市長の

近代国家に導いた教育遺産として、日本やアジアに与えた影響を立証したい

という発言に見られるように、弘道館ら4つの施設は世界遺産登録に向けて、その歴史的価値をアピールしていく様子。4つの自治体が、各々の魅力をより具体的にどう提案してみせてくれるのか、その内容に注目していきたいと思います。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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