- きょういくじん会議
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ワールドカップ南アフリカ大会は、スペインの優勝で幕を閉じましたが、1か月にも及ぶ熱戦に釘付けになったサッカーファンも多いことでしょう。眠たい目をこすって、学校や会社に出かけたという人も多かったかもしれません。11日の朝日新聞の記事には、ワールドカップを機会に、国籍や人種差別について考えてもらおうと、「日本代表チームをつくろう!」という教材を使って授業を行った様子が載せられていました。ワールドカップは、世界32か国が一堂に会する世界最大のスポーツイベントと言われていますが、国籍や人種差別について考える良い機会かもしれませんね。
国籍という点から見てみると、今回のワールドカップに出場した選手の中にも、出身国と違う国の代表になっている選手や、兄弟で違う国代表としてプレーする選手もいます。例えば・・・
ブラジルからの帰化選手が多いポルトガル
もともと、旧植民地と宗主国として、関係が深いポルトガルとブラジルのような国の間では、何人もの選手がブラジルから帰化して、ポルトガル代表としてプレーしています。ディフェンダーのぺぺ選手、ミッドフィルダーのデコ選手、フォワードのリエジソン選手などがブラジルから帰化してポルトガル代表としてプレーしています。
兄弟で違う国の代表に
ドイツ代表のジェローム・ボアテング選手とガーナ代表のケヴィン・ボアテング選手は兄弟ですが、それぞれ違う国で代表選手としてプレーしています。ガーナ人の父親のもと、ドイツで生まれ育った兄弟ですが、それぞれ違う国の代表選手となり、今回のワールドカップではグループリーグで兄弟対決が実現しました。
フランス代表では・・・
また、悲しい出来事ですが、人種差別の問題が火種となって、良い結果を出せなかったチームもあります。フランス代表には、フランスへ移民してきた人々の子どもたち(移民2世)が多く含まれていますが、フランス国内で人種差別的な批判が起こった結果、チームが分解してグループリーグで敗退することになってしまいました。
日本代表にも
また、日本代表にも帰化した選手として、このワールドカップの全4試合に出場した田中マルクス戦莉王選手がいます。日系ブラジル人だった田中マルクス戦莉王選手は、高校生のときに単身、ブラジルを離れて遠い日本に留学し、日本代表にまで上り詰めました。ワールドカップでは、日本中が彼の活躍に胸を躍らせたことでしょう。
記事で紹介されていた教材では、日本代表チームに入る条件としてあったほうがいいもの、または必要ないものとして、「日本語に通じている」、「強烈なシュートが打てる」、「顔・格好が日本人らしい」などの23個の条件から選び、個人やグループごとに話し合って、様々な問題についての理解を深めていくという仕組みになっています。
上手な選手だから帰化させて代表を強くしよう、という考えだけで代表を選んでも、そんな代表は心から応援できない、と感じる人が多いかも知れません。しかし、そう思ってしまうのはなぜなのか、どういった人ならば応援できるのか、などと深く考えることで、人種差別問題の解決につながるかもしれませんね。
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