きょういくじん会議
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今どきの子どもは音楽能力が高い? 国策研調査より
kyoikujin
2010/8/5 掲載
てのひら楽習(がくしゅう)シリーズ 絶対音感トレーニングDS

 今どきの中学生は、音感バッチリな子が多いらしい。「中学3年生の約6割は、初めて聞いた合唱曲をほぼ正しい音程で歌える」という調査結果が出た。

♪今どきの子どもは音感バッチリ♪
 これは、2008〜2009年、全国の国公私立小中学校から約210校を無作為抽出し、小学6年生と中学3年生の約3000人ずつを対象として国立教育政策研究所が行った調査。
 一部を紹介しよう。小学6年生では、和太鼓の演奏を聴き、後に続けて自分でリズムをつくるという問題。ここでは約9割の子どもが変化させたリズムをつくることができている。また中学3年生には、調査用に作成した合唱曲を使って分析。その結果、約6割の子どもが初めて聴いた合唱曲をほぼ正しい音程で歌えていた。

♪9割の子が「日常的に音楽を聴いている」♪
 同調査からは、「日常的に音楽を聴いているという子どもの割合が、小6、中3ともに9割を超えている」という結果もでており、音楽が身近に存在し、音楽を聴くのに恵まれた環境が整っている現代というのをあらためて感じることができる。確かに、CDに限らず音楽配信サイトも充実し、携帯やポータブルプレイヤーを常に身につけ、カラオケボックスも数多にあり… 音感のよい子どもが増えても不思議ではない。

♪技術点はよくても芸術点が不足?♪
 ところが、この調査結果は続けて、「音感はよいが独自の工夫を表現に反映させるのは苦手の子が多い」と分析している。
 例えば小6では、「勢いよく」や「ゆったり」など、自分なりの表現をつけてリズム表現ができた児童は4割程度にとどまり、中3では、強弱記号をつけるなどして自分で表現を工夫して歌えた生徒は3割をきっている。国立教育政策研究所は、「日ごろから音楽に親しむ子が多く基礎的な表現力はあるが、自分で考えたことを表現に結びつける力が不足している」と指摘している。
 音楽は本来、単なる音の再生ではなく、その音なりリズムなりに自分の思いや考えを託し、他人に伝えるためのもの。だからこそ、同じ曲でも演奏する人によって全く違う音楽ができあがる。ところが今回の調査で、その音楽の根幹である自分の考えを表現する力が不足しているということが浮き彫りになった。

 調査結果は、今後の指導に役立てられるよう全国の教育委員会に配布される予定。学校の音楽の授業で伝えるべきものが何か、という課題が一つ見えたのではないだろうか。

 ちなみに、この調査によると「小6、中3ともに8割近くが音楽が好き」と答えている。何はともあれ「音楽が好き」である子どもが多かったというのはうれしいことだ。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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