きょういくじん会議
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子どもたちの「なぜ?」を大切にする学びの場―子ども大学
kyoikujin #93
2010/9/16 掲載
子どもを伸ばす「なぜ」の聞き方・答え方―6歳までの創造性教育法

 今月14日付けの毎日新聞の記事によると、子どもたちの知的好奇心と学ぶ楽しさを喚起させる目的で「子ども大学かまくら」が近々設立されるようです。日本では2校目となる子ども大学。一体どのようなものなのでしょうか。

 子ども大学は2002年にドイツで生まれ、すぐに大評判となって世界中に広がった新しい教育方法です。日本では昨年3月、埼玉県川越市に「子ども大学かわごえ」が初めて開校しています。
 その名前の通り、子どもたちが大学のキャンパス内の教室で、本物の大学教授や一流企業の社員による授業を受けられるのが特徴。大学の授業を受けるなんてどんな天才児たちが集まるのかと思ってしまいますが、子ども大学に入学試験はありません。ではなぜ、普通の子どもたちが大学で学ぶのでしょうか。ヒントは講義のテーマに隠されています。「飛行機はなぜ空を飛ぶの?」「なぜ、戦争が起こるの?」「なぜ金持と貧乏人がいるの?」「なぜクローン人間はいけないの?」といった子どもたちが持つ純粋な「なぜ」を扱ったものばかりなのです。

 子どもの知性は10歳ごろから急速に発達して、なぜ人は死ぬのか、といった根源的な疑問を感じるようになるといいます。この年齢の子どもたちに、そういった疑問について教授陣が専門的に、かつ、わかりやすく教えるのが「子ども大学」というわけです。

 「子ども大学かわごえ」には、上記のような素朴な疑問や好奇心に答える「はてな学部」のほか、経済の仕組みやコミュニケーション、ものの製造や流通などに関するさまざまなことを教える「生き方学部」、そして川越の歴史を探る「ふるさと学部」の3学部があるのだとか。子どもたちの知的好奇心と社会で生きる力を養いつつ、郷土愛を育むためのカリキュラムとなっているとのことです。
 授業は年間10回ほど。募集学年は小学校4年〜6年となっています。多彩な教授陣の中には、難しいことをわかりやすく教えることにかけては天下一品! のジャーナリスト、池上彰さんの名前もありました。

 大人でも聞いてみたいと思ってしまう、魅力的な講義が盛りだくさんの子ども大学。まだ日本には一つしかないこの新しい大学が、地域の協力を得て徐々に全国に広がっていくといいなと思います。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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