きょういくじん会議
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今日から冬服―平安時代から続く衣替え
kyoikujin
2010/10/1 掲載

 10月1日は衣替え。制服のある学校なら、夏服から冬服に変わりますね。今年の夏は猛暑で残暑も厳しかったのですが、寒くなりだすと、あっという間に秋らしくなってきました。9月下旬から冬服を着ていた人も多かったかもしれません。
 現在は6月1日と10日1日に行われている衣替え。その始まりは、平安時代の宮中といわれています。

 平安時代の衣替えは旧暦の4月1日と10月1日でした。今の暦に直すと、5月中旬と11月上旬にあたります。確かに、本格的に暑くなる時期と、寒くなる時期です。
 平安時代には衣替えのことを「更衣」と呼んでいました。天皇の衣類など身辺の世話をする女官の職名も更衣といい、のちに天皇に仕える女御(にょうご)に次ぐ後宮の女官のことをいうようになりました。「更衣」が天皇の后の名称になったことから、民間では季節によって服装を変えることは衣替えと呼ぶようになりました。桐壺更衣が出てくる『源氏物語』には、宮中の行事としての「更衣」も記述があります。

 時代が下って江戸時代には、年4回も衣替えが行われていました。旧暦4月1日から5月4日と、9月1日から9月8日までは袷(あわせ。裏地付きの着物)、5月5日から8月末日までは帷子・単(かたびら・ひとえ。裏地なしの一枚仕立ての着物)、9月9日から3月末日までは綿入れ(表布と裏布の間に綿を入れた着物)を着るようになっていました。武家の制服の決まりでしたが、世間一般に広まっていきました。
 年4回の風習は、現在も和服を着るときには守られています。5月15日から6月末日と9月は単、7月から8月は薄物(うすもの。裏地はなく、絽、紗、麻などの透けた生地の一枚仕立ての着物)、10月1日から5月14日は袷となっています。暦の新旧を考えると、時期はだいたい江戸時代と同じです。

 明治時代になると学校や官公庁、銀行などが制服を着用するようになり、6月1日と10月1日の年2回となりました。現在にも引き継がれている形です。
 近年は冷暖房が整備され、季節を感じられないこともありますが、四季のある日本、季節感を大切にして過ごしたいですね。

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