- きょういくじん会議
「Ustream(ユーストリーム)」「Podcast(ポッドキャスト)」という言葉を聞いたことがありますか。どちらもインターネットを利用した動画や音声の配信手段です。これらの新しいところは、ネット環境があれば気軽に視聴することができ、プロでなくても、誰もが気軽に発信者となれること。これらを通じて、今、「朗読」が静かに盛り上がりを見せています。
Ustreamとは?
Ustreamとは、アメリカ発の動画配信サービス。海外では記者会見や政治活動にも活用されています。2010年1月にソフトバンクが約18億円の出資を行ったことをきっかけに、日本でも広まる兆しを見せています。
基本的に利用は無料。視聴だけの利用ならば、特別な登録も不要。配信するためには利用登録が必要ですが、機材さえそろえば、リアルタイムの自分だけの番組を、いつでも、世界に向けて配信することができます。
このUstream、動画も配信できるのですが、音声だけを配信し、個人ラジオのような使い方をしている人も少なくありません。
その中には、青空文庫などに載っている、著作権保護期間の切れた文章を朗読し、配信している朗読チャンネルも増え始めています。
また、大手出版社による取り組みも始まっています。先月から、声優の坂本真綾さんによる「坂本真綾の満月朗読館」という企画が始まりました。これは講談社出資の新会社星海社が展開する試みの一つで、満月の夜にUstreamを通じて文学の朗読を聴いて楽しもうというもの。次回は10月23日、中島敦「山月記」の朗読を予定しているそうです。
podcastとは?
Podcastは、iPodなどの音楽プレーヤーから生まれた言葉で、ネット上で音声ファイルを公開する方法の一つ。聞き手はファイルをダウンロードすることで、パソコンやMP3プレーヤーを使って音楽や講演、対談などを聴くことができます。Apple社のiTunesを用いた視聴が有名ですが、必ずしもiPodを用いる必要はありません。
発信したい場合には、マイクを用いて音声をMP3形式で保存し、それをブログなどにアップすることで公開できます。
Ustreamのようなリアルタイム性がない代わり、編集加工した高音質なファイルを、聴きたい人がいつでも聴くことができるという特徴があります。
アマチュアの朗読家たちのPodcastも多く、Podcastの紹介サイト「Podcasting Juice」では「朗読」というカテゴリも設けられているほどです。中には枕草子や源氏物語などの古典の朗読に取りくんでいる人もいて、中学校の古典の授業の復習に役立つかもしれません。
ネットを通じ再発見される朗読
今まで朗読を聴きたいと思っても、すぐに聴けるものではありませんでした。朗読イベントの実施数も限られており、また地理的・時間的な制約もありました。
また発表者にとっては、自分の朗読を他の人に聞いてもらいたいと思っても、設備を予約したり、人を集めることは、なかなか難しいものでした。
ところがインターネットという手段を得て、聴き手も読み手も、朗読を気軽に楽しめるようになったことは、すばらしいことではないでしょうか。
秋の夜長、ちょっと手を休めて、声の芸術に耳を傾けてみませんか。
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