きょういくじん会議
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教員経験を生かして、社会のリーダーに!
kyoikujin
2010/10/13 掲載
「社会を変える」を仕事にする 社会起業家という生き方

 公立小中学校で2年間教員として経験を積み、社会のリーダーとなる。そんな事業モデルの運用にむけた活動が、日本で行われています。活動を行っているのは、「ティーチ・フォー・ジャパン準備会」という教員経験者や学生を中心としたNPOです。日本での新しい事業モデルとして、また教育環境の変化や教育に対する社会の関心を高める意味でも、今後注目が集まりそうです。

どういうしくみなの?

 「ティーチ・フォー・ジャパン準備会」が掲げる事業モデルは、アメリカのNPO「Teach For America(TFA)」が行っている活動の日本版にあたるものです。本家のTFAは、アメリカの大学生がはじめたNPOで、企業と個人の寄付や助成金をもとに、名門大学の優秀な若者を雇い、教員不足の貧困地域の学校などへ派遣してきました。今までに約2万人以上の若者がこの活動に参加してきており、派遣先の多くの地域で学力を向上させてきた実績があるようです。また、この教員活動の経験者は、民間の企業などで社会的にも高く評価されているとのことです。さらには、調査会社の文系大学生の就職先人気ランキングでは、グーグルやアップルなどの有名企業をおさえて1位となるなど、学生の人気も高いようです。

どのような活動をおこなっているの?

 「ティーチ・フォー・ジャパン準備会」では、今夏に「Summer Program 2010」と題し、都内の有名大学の学生を講師とした5日間のサマースクールを中学生を対象に開きました。その模様が、日本経済新聞の9月10日の夕刊に掲載されていました。講師となった学生には、学習塾の研修担当講師や大学教授、コンサルティング会社の社員などによる、1週間にわたる研修が事前に行われ、子どもの指導にあたったようです。肝心の指導の成果は、指導初日と最終日に行ったテストで、点数が1〜2割アップした中学生が多くみられたと、記事では伝えられていました。今後の活動は、土曜日や平日の放課後に補習を行いながら、実績を積んでいくようです。

公立の学校への教員派遣へむけて

 「ティーチ・フォー・ジャパン準備会」は、2012年には学生を公立の小中学校へ教員として派遣することを目標としています。この目標の達成にあたっては、運営に必要な資金面でのバックアップを企業などから得られるか、また若者を教員として受け入れてくれる自治体が現れるかが課題といえそうです。
 近年、社会をよりよくするために事業を興す「社会起業家」を志す若者が増え、「社会起業家」という言葉自体もよく聞かれるようになりました。「ティーチ・フォー・ジャパン準備会」の活動は、既存の社会システムと共存しながら、よりよい世の中を教育を通じてつくろうとする、そんな若者を育成する場といるのかもしれません。次の世代の社会起業家がここから生まれることに期待したいでね。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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