- きょういくじん会議
25日の毎日新聞の記事によると、文部科学省は2012年度から、大学・大学院生の奨学金の貸与条件を厳格化する方針を決めたそうです。貸与の審査基準となる家庭の収入を、「主たる家計支持者の所得」から「父母の総所得」に変更して家庭の所得の実態に即した貸与を目指すということですが、長引く不況や少子化は、近年学生の奨学金事情にも変化をもたらしているようです。
日本学生支援機構の貸与条件は厳格化
文部科学省は独立行政法人「日本学生支援機構」を通じて学生の奨学金事業をおこなっていますが、21日の読売新聞の記事によると、冒頭の審査基準の見直しに加え、無利子奨学金の貸与条件として「社会貢献活動への参加」も数年後の条件化を目指して検討しているとか。無利子奨学金の財源には国費が充てられているため、公費で学んでいる学生に社会還元の意識を根付かせることが目的のようです。
返済に苦慮する受給者も
奨学金のあり方を考えるときに、切っても切り離せないのが滞納者が増加しているという現状。99年、当時の日本育英会が原則として希望者全員に奨学金を貸与することにしてから特に問題となっているので、皆さんもきっと耳にしたことはあるのではないでしょうか。
近年は取り締りを強化しているようですが、17日の毎日新聞の記事によると、今月17日におこなわれた「反貧困世直し大集会」では、この不況の影響で大学を出ても就職もままならず、奨学金の延滞金の支払いで手いっぱいで元本の返済ができない、といった事例も挙げられ、奨学金制度の構造改革を求める声があがっているそうです。
奨学金を巡って、貸す側も返す側もどちらも苦しいという今の状況。確かに大きな改革が必要とされているのかもしれません。
大学は奨学金で人材確保に
一方、少し前の記事になりますが、8月24日の毎日新聞によると、大学受験者に、合格発表前に奨学金の内定を出す「予約採用給付奨学金制度」を取り入れる大学が増えているとのこと。各大学で定めた、家庭の収入や高校での成績などの基準をクリアしていれば、入試に合格して入学する際に返還義務のない奨学金の支給が受けられるというもので、大学側にとっては事前に奨学金が受けられることを受験者に示すことで、優秀な人材を確保したいという狙いがあるようです。
国と大学と受給者、それぞれが今後どのように奨学金制度を取り入れ、活用していくか、これまで以上に先のことを見据えて考えていかなければならないのかもしれませんね。
![](/common/img/banner/merumaga_w655h70.png)